男の同性愛を映像化した作品は映画やドラマ、何度か見たことがあるが、自分にとってハマる作品とそうでない作品は大体わかってきたつもりだ。カラミがあるとちょっとなあ、という感じ。男性どうしのキスシーンはあまり見たいとは思わないからだ。この作品は、しかし、わたしがハマるハマらないの法則を少し裏切ってくれた。カラミがあるけど良かった。
ゲイのカップルが成立するのは男女のカップルよりもきっとハードルは高い。ゲイだとわかっている人の中で好きな人が出来たなら、比較的成立はしやすいだろう。そうではない、あるいはそうとはわからない人を好きになった場合には、告白する際の工夫や覚悟は、相当なものだろう。
成田凌演じる今ヶ瀬は、実に念入りに、嫌われる寸前の紙一重のところで距離を少しずつ縮めていく。鬱陶しくもあり健気でもあり、見ていて心揺さぶられる。
愛がなんだでは思われる側の役所だった成田凌。今度は思う側。素晴らしい芝居だった。映像、撮影がよくて、映画全体の洗練されている感じがあったからこそ、男性のカラミの嫌悪感が抑えられ、全体的に美しいと思いながら見ることができた。
ゲイカップルの出てくる作品で好きな映画が一つ増えた。