ななめまえ

窮鼠はチーズの夢を見るのななめまえのレビュー・感想・評価

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
3.9
本日二作目の劇場鑑賞。どちらもLGBTものです。
こちらの作品は原作が大好きで、この手の漫画の中では一番好きな…自分の中で殿堂入りの名作で、サンクチュアリのような存在です。なので実写は観ないつもりでした。とはいえ気になってはいたのでレビューをせっせと読み、
『原作の設定とタイトルをお借りしただけの別作品だと思うこと!』
を踏まえたうえで鑑賞する事に決めました。

まずみてサブカル度が200%増しになっていることに笑ってしまいました。
これは成田凌さんのせいなのでは?(濡れ衣)
と、言うのも成田凌さんの演技が素晴らしくて全ての空気を自分のものにしてしまうような吸引力を感じたんです。気づくと惹きつけられて彼を夢中で見ていました。特にファンとかではなかったのですが、本当に素晴らしい役者さんですね。
大倉さんもいつの間にこんな素敵な俳優さんになられていたんですか。びっくりしました。(大伴先輩風の…大伴先輩ではなかったですが、これはこれで良かった)
二人が一緒にいる時の幸せなら空気がスクリーンから伝わっていて、とても良かったです。二人の時の空気が自然過ぎて他の人といる時に違和感があるくらいでした。
夏生とのキャットファイトシーンもワクワクしましたし、たまきちゃん役の子が可愛かった。
やっぱり記憶喪失になった訳では無いので原作と比較してしまうと色々物申したい事はあるんですけど、
一つの恋愛映画としてはとても良い作品だと思います。
まったく原作を知らない人にはオススメしたい。
知ってる人には記憶喪失になって鑑賞していただく事をオススメしたい。
恋愛と憎しみと執着がぐちゃぐちゃミンチになったようなアンビバレンツ退廃的共依存関係ってどうしてこんなに楽しんですかね。最高に人間臭くてたまらないですよね。
小物を使った心理描写(特に椅子にグッときました)や、構成もとても良くできています。

原作がある作品ってどうしてもそれを求めてしまうというか…原作を正解として原点方式でみてしまうと絶対面白くないんですよね。(そういう見方を否定する訳ではありません)
なので公式と謳ってる以上、辛い気持ちも分かりますが、割り切ってただの映像作品として楽しんでいただくのが良いと思います。これを機に原作を読んでくださる方が増えることを願います。