みそづけ

窮鼠はチーズの夢を見るのみそづけのネタバレレビュー・内容・結末

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

流されやすい、絆されやすい、人を愛せない、人の気持ちを考えられない、愛情が薄いクズ男の大伴とそれを知りながらも彼を長く愛し、自分のものになって欲しいと心から求める市ヶ瀬。

物語終盤、海のシーンで実は愛されてるか不安になって探ってしまうのは市ヶ瀬ではなく大友の方だった、と最後にわからせる見せ方が面白かった。今までの冷酷な言葉も突き放しも愛を確かめるためであったのがわかり、なるほどな〜と思ってしまった。愛することができない男ではなく自分を愛した人たちを等しく愛していた男なのだ。(それが誰かへの裏切りだったとしても)
めんどくさい恋人の典型に見えた市ヶ瀬はむしろそれを全て受け入れていたからこそ、ストレートに自分の不安をぶつけていたのかなと。大伴は人の希望を受け入れて実行するのは得意だけど、自分に自信がないから自分をぶつける勇気はなかった。
人のして欲しいことがわかるから不安が大きい人の方に呼応してしまう人なのかな?でも本当は疑ってる自分を市ヶ瀬に重ねたのかもしれない。

うろ覚えだけど海のシーンの「あんたは自分のことを愛してくれる人が好きだけど、愛情を疑って探ってしまう」みたいなセリフと「心底惚れるってその人だけ例外になっちゃうことなんだね」という彼のセリフで2人の印象が逆転するのが素晴らしい。
大伴の心情がほとんど描かれず結構急展開に見えたのはこの印象の逆転のためだったのかな?
原作わからないので勝手な妄想だけど…。

そのほかのよかったところ
・完璧な人を求めると思ってる?そうじゃないんだよ
・好きになりすぎると自分の形がわからなくなる
って台詞

・帰ってきた音聞いて枕あけてあげるのかわいい。
ワインあげたり耳かきしたりするところもめちゃくちゃ可愛かった。顔と尻がいい。

あんまりよくなかったこと
・そばに置いてという懇願を「お前はいらない」って言って拒絶したのに普通にそばに置いてるのもうちょっと説明して欲しかった(一回拒絶したあとまた探したのかな?)
・大倉くんがとてもビジネスマンには見えない。ボソボソ喋るし、部下の女の子には(最初の仕事のシーンでも)彼氏みたいに接するのに上司には無愛想だし……職業:アイドルって感じだった。
みそづけ

みそづけ