新年早々、仕事に追われ本格的に修羅場になる前に、スケジュールをこじ開けて鑑賞。無理して観て良かった。
クリスチャン・ベールが素晴らしい。上半身が少し堅い感じで、常に猫背なのは、車両下に潜り込んだり、狭い運転席に長時間いる事の役作りだろうか。感じが出ていた。マット・デイモンも好演。二人の喧嘩シーンは男の子なら皆、身に覚えのある子どもの取っ組み合いそのもので、微笑ましかった。
レース中、シェルビーが中継放送を聴きながら、シミュレーションしたドライビングを呟き、それがマッチングするところなど、またハンドルを握りたい未練の残るシェルビーの気持ちと、友人としてのマイルズとの相性の良さとの表現と、二重の効果が出ていて感心。
マイルズ夫婦の関係も独特で面白いし、息子との関係にじんと来る。
予告でコメディの様に扱われていたフォード2世の大泣きするシーンは、実際笑いながら観たけれど、台詞とともに観てみれば、ここにもマイルズ同様に親子の物語はあった。
もちろん主題のレースシーンも引き込まれ、MT好きの自分としては、何度もクラッチを踏んで手が動いた。マッチした音楽も良かったな。
前半のイタリアのシーンも、アメリカとの雰囲気の差異をうまく表現してた。エンツォ・フェラーリも似ていたし、ベスパでフィアット邸に行った広報（という名の伝令？）が、停車時に階段で止まってそのまま倒して駆け上がるところとか、好きだ。
少々前半が駆け足で、もう少しGT40開発の模様などを観たかった気もする。その方が主人公二人の友情やマイルズの功績なども、もっと説得力が増しただろう。個人的にはその辺りだったであろうと思われる、削除されたというジョシュ・ブローリンの出演シーンを観てみたい。
しかし、現状で2時間半もあるから、頑張って編集したとも言える。とにかくぎゅっと詰め込まれた作品で、2時間半はあっという間だった。
最初に予告を観た時、なんとなく大好きな映画『ライトスタッフ』を想像したけど、同じ匂いのある映画で満足。可能であれば、『ライトスタッフ』のように3時間越えの全長版が観てみたい。
