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フォードvsフェラーリのmotoiのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
3.8
この映画の売りはなんといっても迫力のレースシーンでしょう。レース中は観ているこっちまで手に汗握るくらいヒヤヒヤです。勿論危険と隣り合わせなだけに、ぎりぎりの駆け引きの末、ライバルを負かした時の爽快感は格別で、普段モータースポーツに特に関心の無い自分でも感動しましたね。

タイトルの通り、フェラーリに戦いを挑んだフォードのレーシングチームの舞台裏を、主人公二人の友情、絆を中心に描いています。上映時間の長さを感じさせない程、テンポ良く話が展開します。それでいて単調にはならず、一番盛り上がるクライマックスのレース前に、しっかりと観客のボルテージのピークを持ってくる脚本、構成が実に上手いなと思いました。
また実話がこんなにも劇的だなんて、やはり創作よりも本物の人生経験に勝るものは無いということですね。

ドライバーであるマイルズの家族との触れ合いも丁寧に描かれていて好印象です。彼の人物像が観客に伝わり、だからこそ彼の心境の変化や身に起こる出来事に共感出来る下地になっていると思いました。反面、チーム監督であるシェルビーは、殆んどマイルズとの関わりでしか描かれておらず、元一流レーサーであったこと以上にはあまり伝わってこなかったのが少し物足りなかったです。

最初と最後こそ打倒フェラーリですが、大半はフォード上層部との軋轢が描かれていて、フォードも敵みたいな物じゃないか?みたいな印象も受けます。まあ、あくまでチーム対企業という構図で捉えたらですが。そんなフォード側ですが、私はフォード二世の「馬鹿にされたからやり返す」という心意気だけは豪快で好きですね。
今時採算度外視でプライドだけでGOサイン出す企業は、オーナー企業といえどあるのかしら…
当時の企業風土というやつですかねえ(^_^;)
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