たけちゃん

フォードvsフェラーリのたけちゃんのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.5
7000rpmの世界では、全てが消えていく……


ジェームズ・マンゴールド監督 2019年製作
主演クリスチャン・ベイル、マット・デイモン


は~い、行ってきました~\(^o^)/
昨日、2D字幕版で観たんですが、これは絶対4DX案件だと思い、今日、おかわりして観てきました( •̀ω•́ )و✧

もう、すんばらしかったです(ˆωˆ )フフフ…
4DXおすすめベスト5に入りました!
なんと言っても、エンジンのバイブレーションやロードノイズに合わせて、シートがいちいち振動するのがたまらなく良い。
雨のル・マンでじゃんじゃか水が降るのはしんどいけど、風やバイブはサイコーです!

7LのV8エンジンがたまりませよね。
腹に響くエンジン音。
フォード・マスタングも良いけど、やっぱり僕はフェラーリが好き。1度でいいから運転してみたいなぁ( ˘ ˘ )ウンウン



映画としても、もちろん面白かったです。
娯楽映画として楽しませるだけではなく、実話ですからね、しっかりしたストーリーで、考えさせてもくれました。
「フォードVSフェラーリ」の題ですが、企業対企業というよりも、"企業VSピュア・レーサー"って感じで、信念や信頼って何かを訴える内容に心が震えました( ˘ ˘ )ウンウン


クリスチャン・ベイルが本当に素晴らしくてね。
ギラギラして、脂ぎって、洗練とは真逆にいましたよね。ブルース・ウェインと1ミリも被りません。凄い!
特に、顔の表情ね。顔芸!
マット・デイモン扮するキャロル・シェルビーを責めるシーンの憎々しいこと。笑えます(ˆωˆ )フフフ…


そのキャロル・シェルビー役のマット・デイモンはいつものマット・デイモン。でも、そこが良い。
大企業と現場の間に立ち、中間管理職のトップたるやこうあるべし!と感じましたよ。


また、リー・アイアコッカ役のジョン・バーンサルの困り顔も良かったよね。
リー・アイアコッカは、後にフォードの社長になり、でも、あのフォード会長と揉めて解雇になったあと、ライバル社のクライスラーの社長・会長となって倒産寸前のクライスラーを建て直した辣腕ですからね。おーっ、アイアコッカの若い時、こんな感じかぁ~って感動してました。


あと、チームメイトで、最後に優勝したドライバーのマクラーレンは、このあと、1970年に事故で亡くなるんですが、彼の死後、チームを引き継いだ者らによりチーム・マクラーレンはF1チャンピオンになるんです。で、最近レビューした「ラッシュ/プライドと友情」の主人公ジェームズ・ハントは1976年にマクラーレンに乗って優勝するんですよね。繋がりましたねヘヘッ(´∇`)




最後に、少しネタバレかもですが……
身内のフォードの重役は、車やドライバーのことなんか何も分かってなく、会長はレース中に贅沢な食事に行くダメ親父でしたが、ライバルのエンツォ・フェラーリは現場主義で、しっかりとレースを見届けているのがとても素晴らしい感じで描かれていましたよね。
これ、フォードから文句でないのか?と思いました。

最後に、会社からの指示で、同時にゴールし、ケン・マイルズは優勝を逃すんだけど、彼の偉業は、ライバルのエンツォ・フェラーリだけが理解しているところが、やっぱり本物は違うなと思わされました。





そして、音ネタ💩ウンチクン!
今回は60年代の映画なので、ほとんど知らない曲ですが、すごく良かった。
劇伴はマルコ・ベルトラミ&バック・サンダースで、バック・サンダースは知りませんが、マルコ・ベルトラミは監督のジェームズ・マンゴールドの前作「LOGAN/ローガン」でも音楽を担当していました。
デルトロ監督と組んで「ミミック」や「ヘルボーイ」「ブレイド2」の音楽を担当したり、「バイオハザード」「アンダーワールド」や、最近なら「クワイエット・プレイス」なんかも彼の仕事で、僕の好きな映画でかなり良い仕事をしているんですよね。
今作もヘンリー・フォード登場シーンのウッドベースを上手く使ったかっこいい劇伴やフェラーリの工場の場面、ル・マンでのレースシーンの打ち込みの激しいものまで、とても雰囲気作りが上手かったです。
僕よりも若いのに、いい仕事するなぁ( ˘ ˘ )ウンウン


映画でテーマソングのように繰り返し流れるのは、ジェームズ・バートンの「Polk Salad Annie」です。
ジェームズ・バートンって、ミスター・テレキャスターとも呼ばれるギタリストで、エルビス・プレスリーのバンドのリードギターだったんですが、この「ポーク・サラダ・アニー」は、そのエルビス・プレスリーがカバーしたことでも知られているんですよね。原曲はカントリー・ミュージシャンのトニー・ジョー・ホワイトの曲です。
それをジェームズ・バートンはインスト版にして演奏しているんです。1971年に発表したソロアルバムに収録されていますが、かっこいいですよね~。このアルバム、他にも「ジョニー・B・グッド」や「ハウンド・ドッグ」などが演奏されていて、サイコーでした\(^o^)/


シェルビーとケンが登場するレースシーンで流れたのが「ルイ・ルイ」のヒットで知られるガレージ・ロックバンド、キングスメンの同じアルバム収録のヒットナンバー「Money」。
この曲、僕はビートルズのカバーで知ってましたが、ジョンの歌唱と雰囲気が全然違って、最初、同じ曲だと分からなかった(笑)。ジョンの方がワイルドだからね。実は、下に書いたザ・ソニックスもこの「マネー」をカバーしていて、ジョンのバージョンはそちらの方が近いんだよね。まぁ、聴き込むと、どちらも味があって良い( ˘ ˘ )ウンウン


そのキングスメンと同様のガレージ・ロックの雄がザ・ソニックスで、フォードに誘われたシェルビーが相棒としてケン・マイルズを迎えに来るシーンで流れるのが「Have Love Will Travel」です。
この曲、めっちゃかっこいいなぁ。これも上記した「ルイ・ルイ」を書いたリチャード・ベリーの曲です。
ソニックスの1965年発表のデビューアルバムに収録されていますが、このアルバム凄いっすよ。今回、初めて聴いて、驚いちゃった。上記の「マネー」も入ってます。


The Byrdsのインストナンバー「Stranger in a Strange Land」なんかも異色。
これ、「ミスター・タンブリンマン」で有名なバーズの1965年発表のセカンドアルバムのラストナンバーですが、このアルバムも名盤で「ターン・ターン・ターン」のカバーで知られていますね。まだ、サイケ化する前のフォークロックっぽいバーズです。


そして、ル・マンに同行させてもらえず、ケンが1人工場に残っているところに奥さんのモリーがやって来て、ケンを慰めるんです。その時、ラジオから流れてくるのがニーナ・シモンの「I Put a Spell on You」、1965年の曲。
ニーナ・シモンといえば「悲しき願い」ですが、これはそのヒットの翌年の曲。こちらも素晴らしい歌唱( •̀ω•́ )و✧


といった感じで、マルコ・ベルトラミの劇伴以外の曲セレクトのセンスも良くて、楽しめました。映画を気に入ったら音楽にも目を向けてくださいね!



ただね……
残念なのは、予告編で使われていたグレタ・ヴァン・フリートの「Highway Tune」が本編では使われていなかったこと⸜( ¯⌓¯ )⸝
まぁ、60年代中心の上の選曲を考えると、そこに入ってこないのも納得なんだけど、エンドロールでも良かったんだけどなぁ……。
グレタ・ヴァン・フリートって、今、1番旬なハード・ロックバンドなんですよね。2017年にデビューしたばっかりで、ジョシュとジェイクの双子に、その弟のサムを加えたキスカ兄弟がフロントを務めるバンドです。
レッド・ツェッペリンを筆頭に、様々なハード・ロックの影響を感じつつも、模倣ではないサウンドに痺れますよ。ぜひ、聴いて欲しいなぁ\(^o^)/



レース好きも、車好きも、実話好きも、もちろんクリスチャン・ベールやマット・デイモン好きにも、み~んなにおすすめ出来る、実に素晴らしい作品でした!


2020年1月14日 ディノスシネマズ旭川
2D字幕版にて鑑賞
2020年1月15日 シネプレックス旭川
4DX2D字幕版にて鑑賞