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フォードvsフェラーリのmitoのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.0
2020年5本目。
ル・マンでも歴史的出来事として語られるフォードの1、2、3フィニッシュ、そこに至るまでの軌跡をドライバーのケン・マイルズとエンジニアのシェルビーの視点で描く。

当時巨大企業であり、アメリカの象徴とも言えるフォード社。
フェラーリに一泡吹かすという野望の元、勝利を絶対的目標に掲げる…筈なのに、社長や幹部達の思惑や、世間の評判伺いの為に、何度も勝利を手放すような選択を余儀なくされるシェルビー達。

ひたすら中間管理職のような葛藤をさせられる描写は日本的な見方では池井戸潤っぽくて面白い。
ケンと幹部達に板挟みになって頭を抱え続けるシェルビー演じるマット・デイモンが兎に角キュート(笑)
また時系列を事細かに描く手法は原田眞人監督に通ずる、という個人的には邦画に共感を覚える構成だった。

ただ、そこはハリウッド。
しっかり娯楽映画として昇華しているし、情報量の多い出来事を見事に取捨選択していて蛇足の無い綺麗な映画に仕上がっている。

極め付けは映画映えするエンジンの轟音。
あれは映画館の音響で観ないと損。

これぞTHEハリウッド、という作品でありながら、匠の技が垣間見える、アカデミー賞ノミネートも納得の作品でした。
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