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フォードvsフェラーリのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.0
 日曜劇場のような企業根性ものでない、もっと「クールで熱い」物語なのがよかった。
 チームワークも個人の活かし方ももっとクールでじめじめしていない。
 クリスチャン・ベイルがまたいい仕事をしている。もはやおなじみの減量で、精悍で頑固なケン・マイルズになりきっている。
 さながら『ザ・ライトスタッフ』の「最初に音速を破った男」チャック・イェーガー(サム・シェパードが熱演)のようだった。
 デザイナーのシェルビーも、ケンの奥さんも息子もみな熱いし、仲良しクラブでない、勝利は個人の能力が活かされた結果だというところがよい。
 車を「販売」すること、カイゼンを重ねて利益を挙げることにはダントツなメーカーであるフォードが、速さと美を追求するメーカーであるフェラーリと対決するという構図だけでもわくわくする。
 
 日本のメーカーはどうだろうか、メルセデスもフェラーリもワークス参加しないル・マンで優勝しているトヨタは、ニュルブルクリンクではどうなのか(「弱小」スバルは頑張っているが)。
 一方、メルセデスとフェラーリとも(ルノーもいるが)対等に戦っているホンダのスピリットこそが、この頃のフォードにも共通するのではないか。

 スポーツものである以上、勝利の物語でもあるのだが、通常のパターンには陥らないところも巧い。レースの迫力ある描写も。
 メイキング映像がまた大迫力で、怖い。
 スタッフも熱い。
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