なべ

フォードvsフェラーリのなべのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
3.8
フィルマでの評価があまりにも高く、マジかよ!って驚きつつも、ここではララランドやカメ止めも評価が高いから、話半分で観に行ってきた。4DX Screenっていう、側面にも映像を映し出す体感プレゼンテーションで。

きもちいいーーー!!
横壁面Screenの映像は正直いらなかったけど、4DXとの相性は抜群。7000回転のエンジンの振動や地面の凹凸、横Gと、このシステムのおかげで3割増で楽しめた。うおぉぉーーー!
これから観る人は高くても絶対4DXで。

肝心の話は王道中の王道。思ってた通りに話が進み、思ってた通りに終わった。
グランプリや栄光のル・マンよりはずっとよかった(ただし劇伴は栄光のル・マンのミッシェル・ルグランが圧勝!)。ケンの孤高感といい、シェルビーの煩悶といい、チームの熟成感といい、文句なしにおもしろいんだけど、感動の深度がちと浅い。観賞後、しみじみできるのはせいぜい1時間。出演者の描かれなかった部分にまで空想は広がらなかった。

ていうか、この映画の登場人物でぼくの気持ちをかき乱した奴って、ギャン泣きした社長か副社長しかいない。
いやあ、副社長には本当にイライラさせられたわ。イライラ担当なのはわかってるけど、手を替え品を替え鬱陶しい裏技をきめてくる。もう登場した時から印象悪くて。
ああいう奴はどこの会社にもどの部署にも必ずいるんだよな。ほんとまじムカつく。自分じゃ何も生み出せないくせに、影響力アピールしたくてたまらないってクソ野郎。マウントするのが人生の生き甲斐って、マット・デイモンにぶっ飛ばされりゃよかったのに。てかクビになれ!
と、副社長に関してはこんなに熱くなれるのに、主役に関してはここまで饒舌になれない。
クリスチャン・ベールは例によって巧いんだけど、副社長ほどこちらの気持ちを揺さぶったかと言われたら、むしろ微笑みながら安心してみてられるマイペースぶりだったし、マットデイモンは相変わらず、出た瞬間に作品の世界観をこじんまりと見せてしまう地味力を遺憾なく発揮してた。

なのでBlu-rayを買うかと聞かれたら、買わないな。家には4DXもないし。
なべ

なべ