ワイカ

フォードvsフェラーリのワイカのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.5
 良い映画のお手本のような作品。メジャー感があって、ストーリーもテンポも脚本も映像もカメラワークも俳優もよくて、過剰な演出はないのに、緊張感やドラマや緩急がしっかりあって、2時間半の長尺でも最後までまったく飽きないという、そんな映画でした。

 ル・マン耐久レースでフェラーリに挑んだフォードから、車の開発を含む現場を委託されたキャロル・シェルビーと、伝説のレーサー、ケン・マイルズの実話ベースの物語。フォードVSフェラーリというよりは、フォードの経営陣VS現場の職人って感じの話でした。

 マイルズ役のクリスチャン・ベイルも相変わらずすごい。マイルズのことはよく知らないけれど、完全に本人になりきってるとしか思えない演技。またまた痩せてて、こないだデブの副大統領を演じてた役者と同一人物とはとても思えません。

 出てくる車たちや、レースの映像、疾走感も素晴らしく、車好きなら大興奮するのは確実(それほど車に詳しくない自分でも十分楽しめました)。

 終盤は切なかったけれど、大企業の論理にやられた現場の苦悩が描かれていて、ただのハッピーエンドより全然好きな感じだった。家族や男同士の友情の話も良かったです。

 それにしても、フォードってクソみたいな会社なのね。そういうところもきちんと描けるのは、さすがハリウッド。日本なら忖度しちゃって、トヨタの暗部とか絶対描けないもんね。

 ジョシュ・ルーカスって、なんであんな嫌なヤツの役が多いんだろ。かっこよくてオーラもあるのに。この役なら、悪人ヅラのジョン・バーンサルでもよかったのでは。

 というわけで、久々の素晴らしい映画でした。オススメ!
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