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ナショナル・シアター・ライヴ 2019 リチャード二世のtaruponのレビュー・感想・評価

4.0
こんな舞台初めて と思うくらい斬新!
全く出入りができない箱ともいえるような舞台で、基本的に全員出ずっぱり。
リチャードⅡ世、ボリンブルック、ヨーク公、ノーザンバランド伯以外のキャストは2役以上をまったくはけることなく衣装や小道具などのチェンジも無しで演じる。(でも、ちゃんと今誰なのか、どういう立場の人なのかは伝わってくる)
歴史劇だけれど、衣装はTシャツ等。
唯一の小道具が、金の王冠。
それと、バケツに入った水、泥、血を模した赤い液体 これらのみで進行する。

もともと、リチャードⅡ世は5幕ものだけれど、枝葉を落とし休憩なしの2時間弱の会話劇に凝縮している。

始まる前に、演出、キャストのインタビュー映像あり。

私の中のリチャードⅡ世は、ホロウクラウンでベン・ウィショーが演じたもの。作品としても同じものを扱っているはずなのに全く違うし、ベン・ウィショーのリチャードⅡ世とサイモン・ラッセル・ピールのそれは全く違う。

王というある種非人間的な役割に対する、リチャードⅡ世とボリンブルックの人間っぽさがすごく凝縮されて伝わってくる舞台だった。
そうか、王になるべくして生まれた人が王ではなくなった時に、そもそもの自分のアイデンティティをどう求めたらよいかわからなくなるんだっていうことがなんかリアルに伝わってきた。
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