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ゴーストランドの惨劇のペジオのレビュー・感想・評価

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)
4.5
「惨劇」とはどの時制でどの立場の人間が定義するものか?

パスカル・ロジェは『マーターズ』しか観ていないけれど、やっぱりホラーが好きなのね~と微笑ましい気持ちになる
監督のサービス精神故か、観客がホラーで「見たいモノ」をこれでもかと詰め込んだ展開でこれまでのホラーの歴史を「総括」しつつ、それを綿密な「ロジック」でまとめ上げる手腕(観ている途中で思い出される数多の「ホラー映画」たち。)
ただ『マーターズ』がおそらくは冒頭が最初に構想にあってそこからどう展開する?どこに着地する?という「演繹的」な作りであったのに対して、本作はラストから着想してどうそこに至るかという「帰納的」なロジックで作られている「臭い」がある(勝手な想像ですが…。中盤の展開や張り巡らされた伏線など、この辺の「謎解き」的なエンタメは帰納法で作られがちなんじゃないですかね。)
個人的な好みを言うなら前者が好みなのだけれど、それでも普通のホラーが語りを終える「その先」を描いて観客が「見たくないモノ」も見せてしまう様な作家性はやっぱり感情を揺さぶられるし好き(100分以内に詰め込まれているのもあって感情が忙しかった。)

「表現」を巡る若干青臭い思いは胸に迫るし、ある意味「ホラー」が救いになるというのも胸熱
この現実を「惨劇」に…「過去のものと振り返って語られるもの」にする為に…
本作で描かれる姉妹愛や少女の決意のリリカルな描写が美しかった
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