Kana

アリソンのKanaのレビュー・感想・評価

アリソン(2016年製作の映画)
3.0
1994年南アフリカで起こった想像を絶する残虐な事件のドキュメンタリー。
事件の成り行きは当時の再現映像と、関係者本人達のインタビューにより説明される。
現在から過去へ、22年の月日を経て振り返る当時のことを、被害者は今でも昨日のことのように覚えていると言う。
いくら世の中に残虐な事件があると知ってはいても、事実を詳細に伝えられるととてもじゃないが理解の範疇を超えていて、もしも自分だったらと想像することさえ耐えられない。
忘れてしまった方が楽なんじゃないか、いっそ死んでしまった方が楽なんじゃないか、自分勝手にそんなことを思ってしまうほどに恐ろしいその事件の記憶を、彼女は22年間あらゆる形で幾度となく思い出すことになるのだ。
犯人やその後について語られるシーンが何度かありますが、信じられないほどに人間として腐り切っていて衝撃を受けました。
ポスターの意味に気付くと背筋が凍ります。
日本でもどうか性犯罪への処罰の甘さを今一度見直して欲しい。

恐ろしい事件に巻き込まれた時、辛く苦しい体験をした時、乗り越えられないと思う壁が立ちはだかった時、人はそこに何か意味を見出そうとする。
だけど本当の意味でそうするためには、起きた事実をありのまま受け入れなければならない。
彼女は強くなんかない普通の人だと言うけれど、類い稀ない人ではある。
その事件には意味なんかなかったかもしれない。
だけど起きた奇跡には間違いなく意味があったと思える。
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