イベリー子豚

DUNE/デューン 砂の惑星のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.5
スペース・オペラ×『風の谷のナウシカ』
=新時代のスター・ウォーズ(むしろ本家超え)。


これまでの経歴で
家族、血統、アイデンティティを独特の演出と
メッセージ性を持って重厚に描いてきたドゥニ監督の
悲願でもある『DUNE』の映像化。
これは本来、スター・ウォーズで観たかった
政治的で荘厳な「宇宙戦争」そのものじゃないでしょうか……。


……ってか、あ~興奮してきちゃったなぁ~……
とりま何がおったま遣隋使か
申し上げさせてそうろうです!

もちろん、単独で充分面白く、
見応えもあるのですが、
あの迷(宮入り)作・現代のブラックボックス・
昭和の死海文書・U-NEXTに遺されたオーパーツこと
デヴィッド・リンチ版『DUNE』を
完全補完するオベリスクと言いますか、
ロゼッタストーンと言いますか、
本作と合わせて観ることで
全ての点が繋がる、アルティマニアになってるって
ことですよ!!


編集段階でその膨大な設定と
限られた上映時間に押し潰され、
苦肉の策で後からモノローグ追加説明という
暴挙?暴走?により
ペラペラなのに超圧縮された真空ブラックホール
ストーリーだったリンチ作が
こんな豊かな表情と背景、エモーショナルな物語に……!!

ドゥニ版を「難解だ」「退屈」なんて感想が
飛び出す困ったちゃんは
リンチ版を鑑賞したら途中で
脳みそ共々ハゲあがって
叔父上の仲間入りしちゃうんじゃないでしょうか…。


次にアートコンセプト!!
あくまで機能性を念頭に置いてに考えられた宇宙船、
トンボ型!!の飛行艇に保水スーツ、日常服。

特にポールは式服も、演習着も
中二病が炸裂するカッコよさ……!!
男爵の透け透け半裸浮きポッドの不気味さもよいです。

豪華絢爛な彩りを廃したその圧倒的・使用感!
説得力が違いますね。


そして映像!!
僕はIMAXレーザーでの視聴だったのですが
今回、監督のこだわりポイントである「砂漠」の
美しさ!!
臨場感や没入感の先をゆく現場感に
恐らく喉の渇きをおぼえ
ドリンクをがぶ飲みしたであろう、
トイレ失敬人のなんと多いことか……!!



さらに音楽もハンス・ジマーの信頼の仕事ぶりですよ。
キャッチーなテーマこそないものの
全編を通してこの血生臭い権力闘争に
厚みと奥行きがプラスされてます。
大音量「CRハンス・ジマー」が炸裂。


ここに最高のキャスト陣が揃ってるんだから
もう「YOUは何がご不満??」ですよ。

ポール役はハリウッドの高杉真宙くん改めて
板垣李光人くんことセンター分けが銀河イチ似合ってるティモシーさん!!
撮影時23才であの幼気な色気とは!!
初挑戦のアクションも決まってます。

続く俳優陣もマーベル常連にスター・ウォーズ組、
DC、メン・イン・ブラック経験者と
宇宙にちなみまくったGALAXYな面々!

007からはハビエル・バルデムがまた
凶悪な顔つきでいらっしゃってます!


こんなスターメンバーが最高の演出で
予算も贅沢に大河ドラマを繰り広げるんだから
そりゃもう前・後編のボリュームは推して知るべし、
ですね。


逆に少しだけ残念だったのは
作品の持つダークな雰囲気に合わせて暗めの背景が
IMAXレーザーでは肉眼通り、
やや視認しづらかった感が一部ありました。
特にサンドワームは監督も
「その計り知れない恐怖や全体像を
はっきり捉えられないようにライティングを
相当計算した」らしいので
ここは「漆黒」に強い、ドルビーシネマと
比較してみたいところです。


あと好みの問題ですが
リンチ作にあったティム・バートンや
リュック・ベッソン系の粘っこい変態ケレン味が
ドゥニ印で高純度に洗練されて
「Dr Pepperかルートビアお願いしたら
ダイエットペプシ買ってきた」ぐらい
「いや、売ってなかったとか
気持ちは分かるけど、そうじゃないのよ~」な
クセのないクリアなのど越しになってたのは
ちょっと寂しくもありました。

特に男爵の生理的嫌悪感はリンチがダンチ。



なんて、本筋とは関係ない気掛かりはあるものの
かつては読書少年だったドゥニ待望の、
40過ぎての一髪逆転ヒット作だった
原作者・ハーバートの、
全く姿を見せなかったミステリアスで威圧感しかない
皇帝の、
気合いがバシバシに伝わる
スペース・スペクタクルドラマなので
これは後編も
例えミニポスターしか貰えなくても
デッカいスクリーンで観るしかねぇので!!

ちなみにパンフレットもIMAXサイズなので
袋を突き破る可能性があります。


以上、長くなってスミマセンでした。