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DUNE/デューン 砂の惑星のnumahdのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
まず長い。これは見た人のほとんどが思うはず。
長いので上映中は色々思考が(尿意含め)巡るんですが、エンドロールが流れて思ったのは海外ドラマのイッキ見した時と同じ疲労感だなと。
あと長いってのは大体ネガティブな意味として使われると思うんですが、個人的には単純に長い短いというのはそれ以上でも以下でもなくて、あ、ちょっと違うか。短い場合は「だから良い」と接続する事は多いですね。それはつまり短い場合は思い出も短いので、同じ「面白い」でも長い作品より凝縮される。さらに時間的制約から不必要なもの(映画として省けるモノ)を徹底して排除した結果、旨味だけが残った秘伝の焼き鳥ダレみたいな「オイシイ映画」になっている事が多くて、それ故に面白かった!とすぐ言える作品に見えるという事ですね。
で、長い映画は全くその逆になるのかと言うと全然そうでもないのが不思議なところ。
長い映画ってのは当然それなりの理由があると思うんです。その尺である理由が。
この「DUNE」の場合はその理由が何であるか?と言われれば、「長い映画にしたかったから」ではないか。アホみたいだが本当にこれだと思ってます。言い換えれば、短く消費される作品では無く、圧倒的にその世界に没入出来る演出を達成しようとした結果この尺になったと言えるのでは。結果没入感は圧倒的だし、終わった時には「うおー、続き早よ!」と思いました。
音響も異常に良く感じました。単純に音が良い。ミックスが物凄く聴きやすい。
ハンスジマーによる音楽も独特で、デジタルとアナログを行き来するような、この世とあの世を行き来するような、現実と虚構を行き来するような、スクリーンの向こうとこちらを行き来するような、本当に別の惑星の音楽のようだった。これも不思議だけど、ある瞬間でふっと意識が音楽に行き、またそれが消え、またある瞬間で音楽に意識が行き、、という事を上映中終始繰り返していた。この感覚もまた現実からの遊離感と映画への没入感を高めてくれました。「スパイス」の様な効果ですかね。
そうそう、これってドラッグムービーとしても見れますよね。キラキラしたスパイスの表現は本当に気持ち良さそうで、イイですね〜なんて思いながら観ておりました。

資源やドラッグをめぐる国同士の戦争に、家柄や宗教問題、アイデンティティ、ワタシは何者なのか、、という普遍的な要素を盛り込んで宇宙規模にしたら砂の惑星の出来上がりです。

とにかく、「長いから」という理由で評価が低くなったりするのは筋違いだしもったいない。
こういう映画こそ映画館で観なければもったいない。あらゆる意味で絶対に映画館で観るべき映画。

そうだ、「三体」が実写化されるらしいけど、これくらいのスケールじゃないと無理よね?
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