あでゆ

DUNE/デューン 砂の惑星のあでゆのレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
3.7
◆Story
人類が地球以外の惑星に移り住み宇宙帝国を築いた未来。皇帝の命により、抗老化作用のある秘薬「メランジ」が生産される砂の惑星デューンを統治することになったレト・アトレイデス公爵は、妻ジェシカ、息子ポールと共にデューンに乗り込む。しかし、メランジの採掘権を持つ宿敵ハルコンネン家と皇帝がたくらむ陰謀により、アトレイデス公爵は殺害されてしまう。逃げ延びたポールは原住民フレメンの中に身を隠し、やがて帝国に対して革命を決意する。

◆Infomation
『スター・ウォーズ』シリーズなど数多くのSF作品に影響を与えたというフランク・ハーバートの小説を、『ブレードランナー 2049』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。宇宙を支配する力を持つ秘薬の生産地で、デューンと呼ばれる惑星を舞台に繰り広げられる覇権争いを描く。主人公を『君の名前で僕を呼んで』などのティモシー・シャラメが演じ、『ライフ』などのレベッカ・ファーガソン、『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』などのオスカー・アイザックのほか、ジョシュ・ブローリン、ハビエル・バルデムらが共演する。

◆Review
まず基本的に本作のみでは評価不能なのだが、今作に関していえば映画館の大きなスクリーンで見る価値は間違いなくあると思える一本。逆に言うと、本作を小さなタブレットの画面で見たりする意味はあまり無いのではないだろうか。
ヴィルヌーヴの美しい遠景による映像美とハンス・ジマーの音楽を期待して観に行ったために個人的には満足したのだが、客観的にいってスペースオペラは向いてないとは思う。

SF的な設定も最低限しか語らず、今作は『KINGS GLAIVE FFXV』のように王都が陥落して、逃げる以上の話がない為、物語としては序章に過ぎない。『KINGS GLAIVE FFXV』のようなエモーショナル脚本も少なく、ストーリーを期待しているならば不十分だ。
唯一補強するならば、序盤の専門用語の濁流で視聴者を別世界に誘うSF表現は、近年では『デス・ストランディング』がそうだったように、うまく作用していたと思う。
アクションシーンはやはりヴィルヌーヴは苦手だなと言う印象が拭えず、大人数での合戦シーンなどは小学生の運動会のようになっていた。

とはいえ、やはり果てを感じさせない砂漠の中で、主人公を演じるティモシー・シャラメがポツンと歩き続けるだけでも魅せる絵を作るヴィルヌーヴの映像表現は流石の一言だし、IMAXで響く劇伴も気持ちを乗せるのにうまく作用しており、アートムービーとして一定の価値はあるのではないだろうか。
ヒロインとして描かれていたゼンデイヤをもっと見たかったが、今作では実際の出番が少なすぎる為、夢にまで出張してくるほどかなり顔見せ程度にしか現れていなかった為、自作に期待。
個人的には、一万年後の未来までコリオリの名前が嵐(台風)に残っていたのは笑った。
あでゆ

あでゆ