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ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのkirioのレビュー・感想・評価

3.4
ドラクエ未プレイなので強い思いれはないが、確かに微妙な印象だ
ドラクエ5世界観の冒険が見せたいのか、
メタフィクション的なゲームの話にしたいのか、制作者と試聴層とのずれを感じる

単体の映画として見れば評価できる部分もある。モデリングやアニメーションとしてのCGのクオリティ、純粋にファンタジーものとしての美術設定やアクションシーンはおもしろかった。

一方で代表を務める山崎貴のストーリー構成に問題があるように思える。誰にでも受け入れやすく、ファンタジーやアクションを詰め込んだ作風が特徴だが、スタートとゴールの間が、辻褄合わせになってしまう傾向がある。その要因として、VFXアーティストとして活躍した際の名残が考えられる。もちろん本人も無類の映画マニアで、数多くの監督作品を生み出しているが、どこか完成した理想像に捕らわれているように感じる。故に、実際に映画として完成した際に、物語や演出のいくつかの工程が弱く見えてしまう。

 一方で、近年の映画興行の変化もあるだろう。原作付きの作品が世界中で作られる中、その良し悪しはファンサービスの度合いで測られる場合が多い。原作に忠実か、それが観客の需要に沿っているかどうかということだ。もとより映画産業の商品価値としてはそこにあるのだが、近年より一層強まっている。2、30年前であれば笑い話で流されたものも、現代ではバッシングやヘイトの対象となる。そのため、ファンに対する積極的なアピールこそがアニメ・漫画・ゲーム原作付き映画の戦略となった。

本作のラストはでは、「ドラゴンクエストV」ではなくゲームの映画化という点にこだわった結果の判断だろう。しかし、当然、監督自身もそれを把握して制作しているとは思う。むしろ、その問題はそれをよしとする製作・配給の管理に向けられる部分も多いだろう
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