きよぼん

ドラゴンクエスト ユア・ストーリーのきよぼんのレビュー・感想・評価

1.1
映像と音は素晴らしい!街を歩き、山を越え、海を渡り、城を目指す。そこに鳴り響く、すぎやまこういちの名曲!いつもの効果音も冒険を盛り上げれば、剣のバトル、魔法のエフェクト、おなじみのモンスターが入り乱れるアクションも素晴らしい。ドラクエワールドにどっぷり浸れるのは最高!本作みると、ほんとにドラクエって完成されたひとつの世界なんだなあ、と感動できます。

しかし、映画としての展開はいただけない。

「問題だ!」「この方法でいける」「よし解決!」こればっかり。タメも壁も伏線もないため、または伏線張ってるんだけどあっさりしすぎて効果がない。そのため盛り上がらない。いや、原作の名シーンを再現してるところは、そりゃ気持ち上がりますよ。でもそれって映画の盛り上がりじゃないでしょう。

最近の邦画によくありがちな、「とにかくエピソードを羅列する」という病に、この映画も侵されています。あまりにも映画としての作りがよろしくないのです。

そして終盤に待っている「超絶展開」に萎え萎え。

超絶展開がありかなしかの前に、先に述べたように、この展開をさせるための映画の作りがあまりに下手すぎる。唐突。伏線はあるにはあるけど、なんじゃそりゃ!というレベル。

繰り返しますが、この超絶展開が悪いとは言わない。うまくすれば面白いテーマを投げかけることができます。しかし、観客の盛り上がりを奪う可能性のあるこの展開をさせるためには、もっと入念で繊細な脚本が必要だったはず。下手すれば映画だけじゃなく、ゲームが大好きなファンの心を冷えさせる可能性もあります。そこまで本当に作り手は考えていたのか?ドラゴンクエストという作品にリスペクトがあったのか疑わしい。そこが本当に悔しい。

もう一回繰り返しますけど、あくまで映画の作りが下手なのです。「不評かーこの展開って今の客には受けないんだなー」とか明後日の方向で映画制作者は勘違いしないで欲しいです。

かつての映画って、マンガやゲームの作り手たちが目標とする「兄貴」でした。しかし最近の映画はどうか。目標とされるどころか、マンガやゲームを原作に適当につまみ食いするだけの、ダメ兄貴になっちゃってます。しっかりしろ。
きよぼん

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