健一

グレース・オブ・ゴッド 告発の時の健一のレビュー・感想・評価

4.0
「禁じられた遊び」という作品があるが、本作にこそ このタイトルを付けたい!

とにかく重たい、苦しい。
どんな気持ちで観ればいいんだろう。

でもこれ、実話ですからね。
しっかりと受け止めなければ。

アカデミー作品賞受賞作「スポットライト 世紀のスクープ」を観た時に "いつかこの問題を真正面から描く作品が出てこないかな"と思っていたが、ついに🇫🇷から登場した。

聖職者による信者の児童へ向けられた性的虐待事件。
まさかこの題材をフランソワ・オゾン監督がメガホンを取る📣とは意外。

少年の頃に神父から性的虐待を受けトラウマに苦しみながら大人になった人たち。

ある人は家庭を持ち子宝に恵まれ、ある人はトラウマのせいで対人関係がうまくいかず 苦しんでいる人もいる。
「もう過去のことだ」と自ら封印し 今を生きている人もいる。

ストーリーテラー的人物が何人も入れ替わるこの構成のうまさ!
さすが オゾン監督だ!

最終的に"被害者の会" としてひとつにまとまり、この闇に葬られそうな事件を 力を合わせ暴いて行く。
感動すると同時にとても良く出来た作品。

この手の作品は感情移入するのがとても難しいがオゾン監督の巧みな演出で最後まで飽きさせない。

一昨年セザール賞を受賞した「ジュリアン」で 超オッカナイ 親父を演じた ドゥニ・メノーシェ が心機一転 幼き頃の経験に苦しみながらも聖職者たちに闘いを挑む男を好演。
「ジュリアン」とは180度違う演技でビックリさせられる。

最後に主人公が問われる。

「それでも 神 を信じる?」

それは観ている我々観客達にも問いている永遠のテーマなのかもしれない。



2020年 7月23日 ㊗️
シネ・リーブル池袋 screen 1
💺180
客入り 30人前後。
健一

健一