Ryoma

在りし日の歌のRyomaのレビュー・感想・評価

在りし日の歌(2019年製作の映画)
4.7
濃密すぎる185分だった。とてつもない満足感。中国の激動の時代を生き抜いた家族の物語。罪と償い、赦しと解放が大きなテーマにもなっていた。一人っ子政策、恐慌による不況、そして家族との別れ、80年代〜90年代〜2010年代にかけて揺れ動く時代、様々な困難や試練が降りかかろうとも懸命に生き抜いた夫婦の姿に力強いありったけの勇気をもらえた。また、無駄に長尺ではない絶妙な会話の間や長回しのカットによりあるがままの生活が映し出されることからよりひしひしと込み上げるものがあるった。
人生の長さは人により各々違うけれども生きていれば過ちを犯すことはだれしも大小の差はあれどあると思う。たとえ罪を犯してもそれを罪と受け止めた上でその背景にある思いを包み込んでくれる家族の存在は何ものにも変えがたい存在なんだと痛感した。
演者さんの演技も本当に圧巻だった。第69回ベネチア国際映画祭で最優秀男優賞&最優秀女優賞を受賞したのも頷ける。時代・状況ごとに変化する彼らの表情ひとつとっても自然体すぎて、親の身ではない自分でも我が子を思う気持ちに共感したし、親の身ならより沁みるものがありそうだなと感じた。
亡くなった者は再び戻ることは二度とないけれど、一緒に過ごした日々は確かに存在していて、記憶の中では決して色褪せることはないのだと心の底から感じた。そう訴えかけてくるメッセージが込められていて、感じさせてくれる説得力があったのだと思った◎
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