さわだにわか

大学-At Berkeleyのさわだにわかのレビュー・感想・評価

大学-At Berkeley(2013年製作の映画)
4.0
組織運営を撮る都合だいたいいつも金の話は出てくるワイズマン映画の中でもとりわけこれは金絡みのエピソードに比重が置かれている印象があり、同じように学生デモが出てくる公立校ドキュメントと言っても「高校2」なんかとはそのへんが明らかに違う。
州の教育関連予算が削られてとにかくバークレー校は金がない。で、学費アップに反対するあんまり組織化されていない学生デモ隊と執務室にこもってその対処に当たる大学の運営陣の対立がカットバック的に描かれるのだが、金の切れ目が縁の切れ目というか、分断はこのようにして生まれるということがクレバーに提示される。かなしい。

抗議デモのシーンに随分長めに尺が取られているのでそこがクライマックスかと思ったらその後には抗議ではなく講義風景が淡々と続く。
その意図するところを推察するに学生と運営側の分断を日常性で埋めようとしたんじゃないだろうか。なにがあろうがともかくバークレーは生きている。無数の火種を孕んでいてもとりあえず現状は共生してしまっているのだから、と未解決の問題はそれはそれとして視野の片隅に捉えつつ、バークレーの日常を祝福しているように俺には見えたのだった。

デモ隊なんかまるで相手にしない老獪総長の株がちょっと上がるエピソードをデモ終了後のシーンに持ってくるワイズマンは意地が悪いが、これは一方で敵は甘くないぜ、本気で戦うならもっと頭を使いなよ、との学生たちへのエールなのかもしれない。
ちなみに個人的ベストシーンは図書室占拠に向けてシュプレヒコールを上げながら敷地内を練り歩くデモ隊に、自分は決して参加しようとはしないのだが頑張れよって感じで手を振る芝生でのんびりしてる学生の後ろ姿。
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