うみぼうず

赤い闇 スターリンの冷たい大地でのうみぼうずのレビュー・感想・評価

4.0
過剰な邦題シリーズ。原題の通りジョーンズが主役で、知った事実をどう取り扱うか記者、そしてメディア・報道の在り方に問題提起する。

メインはジョーンズがウクライナで目にする現実で、雪と木々のコントラストが強調され白黒のようで、厳しさが表れている。事前に想定していたよりも描写は短かかったけれど、恥ずかしながらホロドモールという言葉は知らなかった身でも悲惨さを痛いほど感じた。

報道されるニュースは、作り手の意図が大なり小なり入っているのは当然ではある。それにしてと国による情報統制甚だしく、加えて記者そしてメディアによる情報操作には不安を感じる。何を伝えるか、より誰が(どこが)伝えるかで人々の意識を操作できてしまう危険性を孕んでいる。人は権威ある情報は無条件で受け入れやすいことは間違いない。
飢饉がある土地で育った子と、何でも得られて自分で調べようともせず父母からの情報を鵜呑みにする子では価値観が合うはずがない、というのも地味に怖い。

改めて意外に感じたのはこの時代共産主義に対して理想的だと考えている人が多そうだ、ということ。世界恐慌が起きた中で順調に経済を発展させている(ようにみえる)共産主義は、当時の情勢鑑みても頷ける。

『動物農場』は未読なので是非読んでみたい。
うみぼうず

うみぼうず