叡福寺清子

赤い闇 スターリンの冷たい大地での叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.7
これほど,今の時代に観るにふさわしい(半年早いほうが良かったんだけど)作品も珍しいのではないでしょうか.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
実存するイギリスのジャーナリストであるガレス・ジョーンズさんがソ連邦,そしてウクライナで目撃したとされる事柄を冷徹な目で表現したのが本作.ソ連邦の虚構に満ち溢れた監視社会と,その犠牲になるウクライナの人々.その違いを際立たせる配色・・・と思いますが,ウクライナの白黒の世界は実際雪の白さと防寒最優先の黒いコートで占められていたなんだと思います.打ち捨てられる餓死者と感情が乏しい子供達.対して,阿片窟の饗宴とアメリカとの国交樹立を祝賀会.そりゃね,ゼレンスキー大統領でなくても,徹底抗戦を選択しますわ.数百年前の話ならまだともかく,ホロドモールを生き残りその惨劇を今に伝える御仁だっているでしょうに,その生々しい経験は決して薄れることはないでしょう.頑張れウクライナ.国土を1ミリも蹂躙させちゃなんねぇぞっと.