このレビューはネタバレを含みます
どんな話か予備知識もないまま、Amazonプライムで無料だったからなんとなく見てみたら、前半はめちゃ重くて胸が痛くなるような話でした。「万引き家族」とか「ダニエル・ブレイク」とかあっち系の痛さ。でも後半はちゃんと救いがあって、最後はハッピーエンドだったのでホッとしました。
DV夫から逃げようと幼い男の子2人を連れて無一文で家を出てニューヨークに行った女性の物語。ホテルにタダで泊めてもらうと懇願しても当然泊めてもらえず、運転してきた夫の車で寝泊まりしながら、どっかの児童施設でシャワーを貸してもらったり、万引きしたりパーティー会場に侵入してオードブルを盗んだりして生き延びようとする女性。でも車が駐車違反でレッカーされて寝る場所もなくなったり、夫が警察官で結局見つかったり次々と苦難が。そんな中、ニューヨークで悩みを抱えながら生きてる人たちが、彼女たちに救いの手を差し伸べて、なんとか救われる、てなお話。
女性だけでなく、救う側の何人かのバックグラウンドも丁寧に描かれてて、とても感情移入しやすかったです。
ただ、肝心のロシア料理店のオーナー?の背景があまり描かれておらず、そのせいでなんで彼女を救おうと思ったのかがよくわからず消化不良。あの看護師を深掘りするよりこっちを深掘りするべきだったのでは。もしかしたら看護師も主役で、女性は結婚しててもしてなくても大変、みたいなのを描こうとしたのかな。だとしたら描き方のバランスが悪すぎ。
最後の恋愛模様も余計。タイトルがこうなら、やっぱり普通にで親切で終わらせてほしかった。そしてロシア料理店は確かにずっと出てきて登場人物みんなの拠点みたいな感じではあるけど、別にこの店だけが親切なわけじゃないし、邦題はひどい。原題の方がよほど内容を言い表してる。あと字幕で、あんな小さい子が父親のこと「親父」と呼ぶのはかなり違和感。「ダッド」にはそういう意味もあるかもしれないけど、普通に「父さん」や「パパ」でよかったのでは。
良い映画なんだけど、ところどころ惜しい作品でした。ビル・ナイの存在感が救い。