ゆき

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのゆきのレビュー・感想・評価

3.7
抑止欲

ふがいない男の話を観た。
人が集まる所を好んで、他人に興味を持つ。誰よりも寂しがり屋な男の話。
経歴と個性を持ち寄った酒浸りばかり集う様は、開始5分で見せつけられた残虐性を忘れさせる。そして昼も夜もなく“今”を埋め合う。
閉塞感漂う、低いマウンティングが滑稽で、環境に染まった果てを見る。
誰もが鼻をつまむ死臭と生活する時点でネジが足りないんだが、それ以外はきっと選択肢にないんだ。
バーの住人以外に抱く妄想がやけにチープでまた滑稽。
予想していた展開とは違い、着地点の見えないまま物語は進む。
ただ、チグハグに見えた要素が後半一気に集いだします。
下らない集いの朗らかさと、スイッチの入ったホンカが纏う哀愁のギャップ。エンドロールの写真が余韻を深めます。
犯罪心理を嗜むのではなく、人を味わう物語。
あのバーが実在することも、ホンカ役のヨナス・ダスラーの凶変っぷりも驚きで満ちた帰り道でした。

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1970年代ドイツに実在した殺人鬼の行動を追う。