Jeffrey

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのJeffreyのレビュー・感想・評価

3.5
‪「屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」‬


こちらYouTubeで解説しております。

https://www.youtube.com/watch?v=LLQRTWbSrOQ


冒頭、1970年ドイツ、ハンブルク。
ここは下劣な環境にあるバー。娼婦、醜い容姿、酒浸りな日々、巨漢、初恋のブロンド娘、弟、小火、消防、ギリシャ人家族。…今、若い娘を手にするべく男の決死の生活が始まる…本作はファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した娼婦連続殺人犯の5年間の日常を淡々と描いたサスペンスホラーで、トリアー監督の「ハウスジャック・ビルド」と上映期間が重なってしまってる点は気の毒だが、第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門には出品出来ている。

映倫区分がR15じゃ無かったら劇場では観てないな。

さて、物語は第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで子供時代を過ごしたホンカはハンブルクにあるボロアパートの屋根裏部屋に依拠し、夜な夜な寂しい男と女が集まるバーへ通う。カウンターで酒を飲み、女に声をかけ、相手にされず、日々を過ごす。彼の容姿は鼻が曲がり、歯並びが歪だ。だが、彼は老若男女問わず、犯罪者には見えない男だ。そんな彼が店で出会った娼婦を次々と家に招待し……と簡単に言うとこんな感じで、中々面白い作品だった。

個人的には「ソウル・キッチン」が好きで他作はそれ程でもないのだが、アキンの新作は良かった。まぁ題材が好みだからと言うのも有るだろうが…。

初見したが、戦後の西ドイツで最も暗い場所で、きっと誇張されてるが、慎重に再現してる部分もあるのかと。過酷で残忍な事柄を描写していくが、最も重要なのはドイツの連続殺人犯フリッツ・ホンカが犯した卑劣な事柄の完全な再現と役者ジョナス・ダスラーが怪演するキャラクターの素晴らしさに加え、担当メイクアップアーティストは良い。

登場人物全体がうまく機能し、この手の作品に必要な憂鬱な状態を与える事に成功している。にしてもハンブルグのサンクトパウリの最も汚い場所で撮影してる感は見ていて下劣。嫌いな人は嫌いになる作風だと思う。世俗的で皮肉的、従来のエンターテインメントの意味では微妙感もあるし、残忍かつ反発的で、絶望を漂わせ、恐ろしく、強力な演出と唯一の食欲とそれを満足させるための容赦ない、道徳的な欲求によって駆動していく人間の汚物の僅かな深さを描写した監督は凄いと思うが、賛否両論だ。

俺が思うに技術的には映画は驚異的で、制作デザインと作成された雰囲気は(特にホンカの屋根裏部屋でシーンでの人間の悪臭感は物語に説得力を与えてる)最高だ。

またアルコール中毒者の日常生活の本当の側面を映し、侵略と暴力、飲酒の姿を露わにする点と主な部分である、主人公の思考と感情の洞察が、映画を非常にリアルにしている。

あと音楽とドイツ語が物語に合う。まぁドイツ語映画だから当然なんだが、なんか語源が良い映画だ。ただ、あくまでも自伝風なので、ゴリゴリのホラーファンには微妙かも…主流が好きでセンセーショナルなサスペンスで画作りしてないから厳しいかと。‬


‪にしても醜い野獣の初恋映画だろ…これ。ネタバレになるからあんま話せないが、結局、熟女としか◯◯出来ないし、俺だー!俺を見ろー!これは俺映画だ!ってくらいのアキンの演出が笑える。此奴…役似させ過ぎだし、エンディングで実物の写真見せられて驚いたよ…。‬


‪兎に角、掃き溜めの屋根裏部屋で行われるカフカ的な世界は絶句する…。完全にイカレタ映画で、胸糞悪く、だが、呆気なく、帰結する1本だ‬。

改めてBDを購入してみた時の感想。

冒頭、常闇に光る眼。眼鏡がをかけたダサ男。バーのグロテスクな面々ら、若いピチピチのブロンド娘への恋。部屋に連れ込んだのは巨漢の熟女、暴力を振り、泣き、酒を浴び、そしてまた殺人。今、彼は真っ当な出会いを探すのだ…本作は今年の3月に劇場で観て面白かったのでBD購入して再鑑賞した。ファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー映画である。

本作は冒頭の新聞製造機のシーンは個人的にすごい好きなんだよなぁ。それと死体を切断している間にレコードから流れるフレンチポップのAdamoのEs Geht Eine Träne Auf Reisenが流れるのは個人的には最高だ。しかもその曲はバーで引っ掛けた中年の婆を家に呼んだ時にもまたレコードから流すからね。それとあの行きつけのバーでミュージックボックスから流れるHeintjeのDu Sollst Nicht Weinenで、バーの中にいる女性も男性も涙を出しながら流れるシークエンスも見ていて面白い。

今回BDを見返して思ったのだが、やはり若い俳優が特殊メイクで変身しているから、冒頭の女を切断するシーンでカメラに後ろ姿を見せているときの太ももとか足の感覚がやはりピチピチの若い20代の男の子だなぁと感じた。20歳も歳の上の中年のオヤジを演じている設定だが、やはり下半身には無理があるだろう。それは映画「モンスター」でシャーリーズ・セロンが不細工な女を演じても所々に見せる美しい生足がそうであった様に…それにしても殺される女がみんな中年のババアで、実際に若い青年(俳優)が女のパンツを下ろして熟女のアソコを生で見るって言うのもまたなんとも言えないだろう。

それとめちゃくちゃ受ウケるのが自分の部屋の隠し部屋に切り刻んだ死体を隠すときに、あまりの悪臭にゲロを吐いて車のバックミラーとかに普段かけるような"臭い取り"のクリスマスツリーのような形をした(日本だと紅葉?)臭い取りを投げ込む場面が笑える。そんな小さな香りでごまかせるわけもないのに。
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