ヒロシー

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのヒロシーのレビュー・感想・評価

4.0
これは良い! 『マインドハンター』という残酷なシーンを描かずに最も残酷な物語が放送されてしまった今、中途半端なシリアル・キラーものは全て霞んでしまう。しかし本作は、フリッツ・ホンカというダメにもほどがあるダメ殺人鬼の異常性を追いかけながらも、どう考えても貧困にあえいだり孤独な身だったりする人々の巣窟と化している酒場に集まる人々や、若く美しい娘とお近づきになろうとする明らかなダメ学生、次々と犠牲になる悟りきったような、でも明らかにミソジニーの被害者である老娼婦達などの登場人物を決して背景として処理せず、短い登場でも役割を与え、印象を強く残らせるように描く。それにより浮きだつホンカの異常性、それらを生み出した背景の邪悪さがひしひしと伝わってくる。本当に情けなすぎるラストシーンなど、ブラック・コメディ的な要素も痺れる。カメラを無駄に動かさない撮影も良い。最初から最後まで固定カメラで撮られるキッチン、そこで誰が何をしているかに注目!
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