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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのlastnightのレビュー・感想・評価

4.2
1900円払って祝日の昼間に何でこんな映画観なきゃいけないんだ……と、思いながら観てたが………

これはすごいな…。

まず、何をおいてもヨナス・ダスラーの怪演に度肝を抜かれる。特に調べず観に行ったので、まさかホンカを演じてるのがこんな若い俳優だったとは……観終わった後知って思わず二度見した。

本作でどうしても辟易してしまったのが、汚らしい性欲と殺人へのハードルの低さだったのだが……「もういいよ、この手の映画は飽きた」と思ってたら、エンドロールの実際の写真見て、その再現度の高さに驚愕した。
焦れったい長回しに終始イライラしていた不快な屋根裏部屋が本当に実在し、劇中で汚い人形を雑に扱うかのように殺された被害者達が実際に生きていたのだという事実。不快、汚いで片付けられない事実を見せつけられ、一気に現実に引き戻された。

正直、1970年代のドイツとか戦後の影響とかいう歴史的観点は、個人的にはどうでも良くて………、(劇中でも殆ど触れられてないし…)現代日本でも無い話ではない。
ある汚らしい街にある寂しい男が住んでいて、その男が殺人鬼となり、最後ある出来事によって社会との繋がりを得たというだけの話。時を同じくして、ホンカの妄想の中で謎の扱いをされていた女の子が、急に実在感を持つ演出も素晴らしい。

全然ジャンルは違うが、最近観たミッドサマーはよくある悪趣味映画の域を出なかったが、これは悪趣味というより、不快だが思わず笑ってしまうブラックコメディで、それだけに現実に引き戻された瞬間に、製作陣・俳優陣の本気を感じ、評価がかなり上がってしまった。
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