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ペトルーニャに祝福をのすのネタバレレビュー・内容・結末

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

元になった事件にすごく興味があって、期待して観に行きました。
でも、観ているのが結構辛い…ラストまでの流れも自分にとってはモヤモヤとした映画で、体力を消耗しました。
女性だったら、ペトルーニャが受ける社会からと家族からの女性差別に、ジクジクと傷を抉られる気がします。

終始、男性達から1人の女性に向けられる憎悪の表現が恐ろしくて、心が萎縮する思いでした。
どういう狙いなのかはわからないけど、そういうシーンはいつも、画面いっぱいのペトルーニャの耳元で、口と鼻先だけの男性が憎しみをぶつけてくる。耳元で罵倒されるって本当に怖いよ。。。
希望より恐怖や、無力感、絶望の方を大きく感じてしまって、ちょっとだめでした。


以下、備忘を兼ねて印象に残った点を書き連ねます。

・「裸でいると自由なの」
服を着ろと叱咤されたペトルーニャがすれ違う半裸の男性たち。裸が許されるのは男性だけ。

・処女でいさせ続けるために、父親に病気にさせられ続けて死んだ娘のはなし。
・女の体のマネキンに男の頭をはめたペトルーニャと、セクハラ男の工場からもってきた、頭が女で体が男のマネキン。

・女性がつかみ取った幸運を、当たり前のように奪い取って自分の成果にする男。女性がつかみ取ったことを認めた上で「女が(俺たちが享受すべき幸運を)盗んだ」という主張。

・十字架を胸に置いて、自分も十の字になってじっとしているペトルーニャ。神はペトルーニャ。

・女性から幸せを奪い取るのに必死な男たち。必死すぎて怖い。。

・リポーターの女性の電話相手、自分の子供の世話に無責任な男。
・カメラマン、女性差別に無関心で、スポーツギャンブルに夢中な男。

・動物になったみたい、ってセリフ、自分は「あなたは1人の人間だよ」ってどこかで打ち消してほしかった。そこは監督との考えの違いかもしれない。動物っていう言葉に、"社会にとらわれず心のままに"、みたいな想いがあるのかなと思った。

・中国革命。共産主義と民主主義。自分が勉強不足でよくわかってないので調べること。

・「仕事があって羨ましい」に対して「自分にも君のような勇気があったらな」と。
よくある「男だって辛い」を感じてモヤモヤ。

・冒頭から母親の過干渉、世間体を異様に気にする行動がなかなかに辛い。
ペトルーニャが「ついてこないで」って必死に叫んでしまう反動に身に覚えがありすぎる。
中盤の、序列に従わなかったペトルーニャに対する母親の暴行、暴言も。辛い。。
幼少期からそんなにひどいことされ続けてきたのに、本当にペトルーニャは受け入れられたの?「化け物」って言われてたよ。
全然実感として共感できない。。仕方ないってわかってても、「受け入れるよ」なんて言えない。これも、よく見る、被抑圧者側に「寛大な心をもて」とせまるやつに見えて辛かった。

・連絡する、の後のあの笑い、それがそんなに嬉しいって、なんだか辻褄が合わなくて違和感。「自分は自分だけで価値がある」とそう言ってたのに、結局誰かに価値があると認められることにそんなに喜ぶの?

・最後、十字架を司教に渡すペトルーニャ。渡すというか、教会と男達に、幸運を授けたペトルーニャ。やっぱり神はペトルーニャ。
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