KnightsofOdessa

ペトルーニャに祝福をのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
2.5
[] 50点

いかにもベルリン的な社会批判映画。キリスト教の福男選びに女が乱入して勝っちゃったというのは面白い設定だし、古い伝統vs新時代という問題の口火を切る事件は概してそういう意図がないことが多いという観点の面白さはあったものの、監督の主義主張を全部レポーターが喋っちゃうし、事を荒立てたくない宗教者vs福男選びに参加してピーピー吠えるだけの男たちvsなぜか十字架を離さないペトルーニャという堂々巡りを1時間くらい延々とやってる退屈さには勝てなかった。それって議論の手前の段階では…あの騒いでいる男たちは本当に宗教を信じているのか、宗教を盾にしているだけじゃないのか、宗教者はどうして伝統にしがみつくのか、などという視点を組み込めば問題を立体的に論じることが出来たと思うが、男=伝統=ゴミという結論ありきすぎて中々強引な展開を押し付けられるのには辟易してしまう(だからこそ、そこから逸脱した人物が出てくると終わってしまう)。"あんたらまだそんな議論(女は参加しちゃダメ)してんの、遅くね"という感じの晴れやかなラストは"独立して観たときに"良いとは思うんだが、そこまでの茶番が長すぎるし、勝手に社会的意味を付与し続けたレポーター(つまり文脈を呼んで過大解釈した観客)が馬鹿に見えるほどペトルーニャ個人の物語として完結しちゃうのがヌルすぎ。この年のベルリンは終わってるな…一応残りのコンペ作品も全部観られる環境になったが、観る気が全く起こらない。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa