えむ

ペトルーニャに祝福をのえむのレビュー・感想・評価

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
3.3
北マケドニアの小さな町に住むペトルーニャは大学を出ているけれど、容姿にも親の理解にも、仕事にも恵まれない。

そんな彼女が街の女人禁制の祭で『これを取れた人は1年幸せに暮らせる』という十字架を男性を差し置いて取ってしまうところから始まる、『街の伝統を叫ぶ群衆』とペトルーニャとの攻防の物語。

といってもペトルーニャはすぐに警察に連れていかれてしまうし、早く十字架を返せとペトルーニャを責めて罵倒する暴徒と貸した住民たちと司祭、その圧を受けてペトルーニャを責める警察、逆に女性が何故とってはいけないと問題提起して助けようとするリポーター、その構図が延々続くのみ。
観ている観客がちょっとばかり考えるきっかけを与えるって程度のストーリー運びではあります。
絵面もいたって地味。

まあねぇ、個人的には、十字架を女性がとったところで『女人禁制』は人間側の都合だし、神様そんなに心狭いとも思えんのだけど。
(そこまで差別したらもう神様って存在として何なんだろって)


結局最後は解放されたペトルーニャ、あっさり十字架を返すのだけれど、別に男性社会、女性蔑視とそこまで戦うつもりなんてなかっただろうし、ちょっと『女だって幸せになってもいいじゃん』て思ったくらいのことだったかもね。

そうだなぁ、この映画を観ることに意義を見出すとしたら…

最初はちょっとしたことでも、執拗に責められると、あるいは執拗に言いがかりつけられると、かえって反発して要らん戦いが起こっちゃうのが人の心の面倒くささなのよ。

…ってことを教えてくれる映画かも。
えむ

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