ペトルーニャに祝福をの作品情報・感想・評価 - 3ページ目

「ペトルーニャに祝福を」に投稿された感想・評価

ゅ

ゅの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

”無職”で"美形じゃない" ”女性”のペトルーニャと
"警官"で"カッコよい" "男性"がガラス越しに互いの辛さを吐露するの、
超えられない壁をストレートに表現してる感じですごく良かった。
泣いた。
そして、ガラスを超えて出しているペトルーニャの手を警官が握ってあげるのも良かった。
職もあって、男性優位の恩恵を受けまくっている警官が「でも俺の同僚はあんなんだぜ」って愚痴ったって、ペトルーニャの立場を考えたら同列に語るなよ、って話ではあるんだけど、
彼は彼の立場で辛いことがあって、もっと不幸なものがいるから嘆くことを許さないようになってはいけないわけで。
でも、手を握るために壁を越えて握ってあげるのは、優位な側からしてあげることなんだよな。
ペトルーニャから伸ばして掴まなきゃいけないんじゃなくて。
そこが、この作品の祈りというか希望というか優しさというか。
簡単に解決を迎えられる問題じゃないけど、それでも、手を握ってあげることで、少しづつ変えられるんじゃないかな、っていう、そういう願いのように思えて、とても良かった。
Fu

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3.6

このレビューはネタバレを含みます

「私は女よ、バカじゃない」って言い放った後の爽快感に浸る暇もなく、爆笑される流れが現実すぎて辛い…
あと、母親のinternalized misogynyに育ってきた環境、社会の被害者って当事者は気が付かないんだな、それが一番悲しいなって思った
ペトルーニャの専攻も周りへの無意識な抗議だったのかもね (nature vs. nurture?)

最後の去っていくペトルーニャのスッキリした後ろ姿に元気もらえた
それと、パンクな始まり方が好きすぎてそこのためだけにもう一回観たいくらい
一旦アリアナグランデ聴いて浄化しましょ
胸の中がウズウズして、自分の中にどうしていいかわからない、でもポジティブな衝動が湧き上がっている。
うをーモリモリ愛してくぞー!
っていう衝動。

ラストはなんだかすっごく痛快だったなぁ!
この1日で、ぺトルーニャは、何かのうみみたいなものをギョエーって出し切った感じ。
まだ続くけど、一回彼女の中ではリセットというような。
足取りが本当に軽く見えて、素晴らしかった。
す

すの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

元になった事件にすごく興味があって、期待して観に行きました。
でも、観ているのが結構辛い…ラストまでの流れも自分にとってはモヤモヤとした映画で、体力を消耗しました。
女性だったら、ペトルーニャが受ける社会からと家族からの女性差別に、ジクジクと傷を抉られる気がします。

終始、男性達から1人の女性に向けられる憎悪の表現が恐ろしくて、心が萎縮する思いでした。
どういう狙いなのかはわからないけど、そういうシーンはいつも、画面いっぱいのペトルーニャの耳元で、口と鼻先だけの男性が憎しみをぶつけてくる。耳元で罵倒されるって本当に怖いよ。。。
希望より恐怖や、無力感、絶望の方を大きく感じてしまって、ちょっとだめでした。


以下、備忘を兼ねて印象に残った点を書き連ねます。

・「裸でいると自由なの」
服を着ろと叱咤されたペトルーニャがすれ違う半裸の男性たち。裸が許されるのは男性だけ。

・処女でいさせ続けるために、父親に病気にさせられ続けて死んだ娘のはなし。
・女の体のマネキンに男の頭をはめたペトルーニャと、セクハラ男の工場からもってきた、頭が女で体が男のマネキン。

・女性がつかみ取った幸運を、当たり前のように奪い取って自分の成果にする男。女性がつかみ取ったことを認めた上で「女が(俺たちが享受すべき幸運を)盗んだ」という主張。

・十字架を胸に置いて、自分も十の字になってじっとしているペトルーニャ。神はペトルーニャ。

・女性から幸せを奪い取るのに必死な男たち。必死すぎて怖い。。

・リポーターの女性の電話相手、自分の子供の世話に無責任な男。
・カメラマン、女性差別に無関心で、スポーツギャンブルに夢中な男。

・動物になったみたい、ってセリフ、自分は「あなたは1人の人間だよ」ってどこかで打ち消してほしかった。そこは監督との考えの違いかもしれない。動物っていう言葉に、"社会にとらわれず心のままに"、みたいな想いがあるのかなと思った。

・中国革命。共産主義と民主主義。自分が勉強不足でよくわかってないので調べること。

・「仕事があって羨ましい」に対して「自分にも君のような勇気があったらな」と。
よくある「男だって辛い」を感じてモヤモヤ。

・冒頭から母親の過干渉、世間体を異様に気にする行動がなかなかに辛い。
ペトルーニャが「ついてこないで」って必死に叫んでしまう反動に身に覚えがありすぎる。
中盤の、序列に従わなかったペトルーニャに対する母親の暴行、暴言も。辛い。。
幼少期からそんなにひどいことされ続けてきたのに、本当にペトルーニャは受け入れられたの?「化け物」って言われてたよ。
全然実感として共感できない。。仕方ないってわかってても、「受け入れるよ」なんて言えない。これも、よく見る、被抑圧者側に「寛大な心をもて」とせまるやつに見えて辛かった。

・連絡する、の後のあの笑い、それがそんなに嬉しいって、なんだか辻褄が合わなくて違和感。「自分は自分だけで価値がある」とそう言ってたのに、結局誰かに価値があると認められることにそんなに喜ぶの?

・最後、十字架を司教に渡すペトルーニャ。渡すというか、教会と男達に、幸運を授けたペトルーニャ。やっぱり神はペトルーニャ。
Jaya

Jayaの感想・評価

2.9

このレビューはネタバレを含みます

無職の32才ペトルーニャが教会の女人禁制に立ち向かうようなお話。ペトルーニャの母と司祭がえらく役にハマっていたように思います。

こういったお祭りごとは色んな場所にあって、同じことが起こったときにどういう対応がなされるのか、考えさせられました。
主題となる出来事自体は良いとして、描き方は今一つかなとも思いました。アナウンサーはなかなか頭が硬直したようなキャラでしたが、これがある種の皮肉なのか代弁者なのかによって印象が変わると思います。お祭りの男衆も同様に一様に硬直してましたが、こちらも象徴化されたものなのか監督の認識なのか、判断はつきかねました。

ラストの展開も、男ができそうな予感で全てが解決するという。そういうもんだとも解釈できますが、個人的にはそれでいいのか?という気持ちに。

構図がキマってるような箇所がチラホラあって、すんなりとは観れましたが、終わってみれば何とも釈然としない映画でした。
ued

uedの感想・評価

4.6
素晴らしかった!!!
最初からもうすっごい苛立ちを感じるんだけど、主人公がだんだん自信が確立されていく様が素敵だった。もともとある私はそのまま私であるだけで価値があるという精神が実際に体現できるようになっていく様を見て少し泣けた。
最初から最後まで男どものクソさ、家父長制による伝統的価値観という名の性差別が本当にきつかったけど、みんな必死で躍起だからなんか滑稽ででも有害です!うせな!という気持ちでいっぱいだった。ほんとそういう所日本と変わらない。就活セクハラを撲滅したいね!
お母さんは伝統的価値観に則って生きてきた人だからペトルーニャのことを理解できないのはわかるけど、それにペトルーニャが反発し怒りを伝えながらも、受け入れるのを見てすごく感動した。
警察署でのやりとりをみて、お母さんはもっとまだまだ若いけど、都合が悪いことをわざととぼけられたりとかする時に私が追求する姿とちょっとだけ似てた。

若い警察官がちょっとキュートだった。
すっごいいい映画〜〜
「私には幸せになる権利はないのですか」

マケドニアで2014年に起きた実話を基にした作品。神現祭という行事から事件は起こります。本作はその宗教上の行事を抜きにしても、現代の生きづらさを表していて地味ながらも多くの女性(または男性)の共感を得られる作品です。

ペトルーニャが十字架を取ったのは特に深くは考えずにした行為。問題を起こそうとしたわけではない。だけどその後の信念を持った彼女の行動は人の心を動かす。ペトルーニャと警官たちとのやりとりでは、一人の警官の心を動かした。自分はあんな風に毅然とした態度を取れるかな。信念、大切ですね。

世の中、これは変だよねっていう男性優位なケースは多々あります。例えばペトルーニャの就職面接時のシーン。
最近の日本でも企業の採用担当者の不適切行為がありました。また数年前のOB訪問した学生が被害にあった事件も。恐らく形は違えどそういった事は昔からあったのでは。映画だけの話ではありません。

物語のラストはスッキリ、清々しい。
自分の幸せは自分が決める。神ではないんです。
ひよこ

ひよこの感想・評価

3.5
北マケドニア。社会的、宗教的背景などはよく知らないけども、共感できる。世界中どこでもこんな状況か。#me tooが世界中を駆け巡るわけだ。
ラストのどんよりした昼間と混迷の夜を抜けて、人気のない雪の積もった朝に踏み出したペトルーニャの後ろ姿をどう受け止めるのかは自分自身に任されている。
annblanc

annblancの感想・評価

4.0

大好きで何度も観に行ったキャロルキングの半生を描いたミュージカル「Beautiful」で何度観ても泣いてしまうシーンがある
浮気をして家族から逃げる夫との別れを決意したキャロルが「私にも娘たちにも幸せになる権利がある」と言うシーン

ペトルーニャが「私には幸せになる権利はないの?」というところで同じくぼろぼろしてしまった
普段、女性差別がとか女性の権利をとか口に出すことはないけれど、女として生まれた瞬間からいくつもの「女の子なんだから」「女なのに」「女のくせに」を浴びてきたのだなと思ったし、あのラストにはなんだか気持ちを代弁してもらったような気持ちにもなってスカッとした

平日昼間の岩波ホールは品のいいシニアしかいなくて新鮮だった
妻と仲良く杖をついていらしていた老紳士は何を思ったのだろうと気になった
あとシニアたちはオープニングの音楽に度肝を抜かれなかったかとハラハラした
神は男と、誰が決めたのか。
こんなこと、幼い頃から教会に通っておきながら考えた事もなかった。
そんな自分がとてもショックでした。




ペトルーニャは祝福を受ける権利が、ある!


この映画は北マケドニアだけの問題じゃなく、世界で、日本でも置き換えられるテーマでした。
宗教、警察、権力、そして差別と貧困。
学歴だけでは就職できないし、女という壁とルッキズム。

世の中と自分にふてくされて生きているペトルーニャは、自分を肯定できない上に実際は親に甘えて生きていました。
だけど分かり合える大事な友がいて、自分の学んできた考えはちゃんと持っています。
親だって、世間体を気にしたりペトルーニャを守る事ばかりで彼女を傷つけるけれど、ペトルーニャには親の愛情もちゃんとわかっている。



「私にも幸せを掴む権利はある」
「規則であって法律ではない」
この映画には、当たり前なのに人が向き合って考える事を忘れた重要な言葉がいくつも込められています。
彼女の好きな時代は中国革命で、目標は共産主義と資本主義の融和。
画面の中心に佇むペトルーニャは、分断の世の中の中立のようであり、まるで絵画のようにも見えます。

宗教ってなに?警察や権利やしきたりだの、ましては男だからってなに?
つーか、神ってなんなの?
ペトルーニャの掴んだ物に対して浴びせられる酷い言葉と行動は、そこに宗教もなければ神さえ置いてけぼりのただの差別。
どーでもいい「決まり」のみで、容姿や生き方まで批判されるいわれなんてないから!
まさにどのコミュニティでもある悲しい問題で、
彼女を否定する正当性を、出てくる誰もが答えられない曖昧なものでできている社会。
そんな場面こそペトルーニャのアップになり、彼女の心の内が重く伝わってきます。
そして次第に強くなる思いも。

本能のまま動いた事で気付けたこと。


彼女は本当にカッコいいし、可愛かった!
また忘れられない映画が一つ増えました。