ペトルーニャに祝福をの作品情報・感想・評価 - 4ページ目

「ペトルーニャに祝福を」に投稿された感想・評価

のっち

のっちの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

一神教への反抗がテーマの映画は大好き

チラシにもあるように人を真ん中において左右非対称の背景を置くことでキリッとした画面が特徴的。三位一体や宗教画を狙ってるみたい。
さらに顔へのフォーカスが強く、その人の心情が身に刺さる撮り方で、とりわけペトルーニャの目力は圧巻。あまり多くは喋らないものの、目の動きだけで恐れや怒りや強さを表す彼女の演技は素晴らしい。
テーマとなるのは、キリスト教と男性優位社会における法律と女性の地位。これに歴史を学んでいたという彼女の背景がだんだん効いてくる。北マケドニアだからってアレクサンドロス大王ではなく、中国革命の民主主義と共産主義の共存がこの話の解決として語られる。ペトルーニャがラストで語る「これはあなたや、あの男たちに必要だから」というセリフ。権利を勝ち得た上で放棄するというカッコよさがたまらん。
R

Rの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは紛れもなく女性差別の問題を提起した映画だが、正直そこよりも自分を見つめ直して前に進むペトルーニャの姿に心打たれた。
ペトルーニャは母親や就職面接官の男から年齢、職歴、見た目に価値が無いと言われる。しかし、学生時代は歴史学を専攻し、両親によれば成績は良かった。中国革命が好きで共産主義と民主主義の融合に興味がある、ペトルーニャは賢い女性だ。決して価値の無い人間ではない。
警察署で尋問を受けるペトルーニャは、終始正しかった。
警察や神父、信者の男達はペトルーニャに散々罵言を浴びせる。
ペトルーニャはただ耐え続け、疑問を述べる。祭りに男性しか参加してはいけないというのは規則であって法律ではない。
十字架はペトルーニャが取ったのだから、ペトルーニャのもの。なぜ警察に拘束されるのか、家に帰してもらえないのか。

不当な扱いをされ、テレビのインタビューを受けるか悩むが、結局受けなかった。自分の力で解決したかったのだろう。
後々で十字架を取ったことに関して自分は動物のようだと言っていた。
周りの異常に怒っている警察や信者の男達みてスンって冷静になったんだろうな笑
神の御心を受けられるのは男性の特権だと喚く姿はあまりに馬鹿げていて哀れだなと思った。


警察署を出た後で、神父に十字架を返した時のシーンが大好き。
あなた達にはこれが必要だけど、私はこれがなくても幸せになれるから。って

最後に映画に登場した女性達が全員映る。
ちょびっとしか映らなかった、友達のアパートの住人の女性まで映る。そして語りかける

もし神が女性だったら?

原題の「神は存在する、彼女の名はペトルーニャ」に込められたメッセージが余韻として残って、頭から離れない。

映像も非常に緻密に計算して作られていたな。本当に凄い映画だった。
碧

碧の感想・評価

3.0
不思議なくらい日本みたい。
過干渉な母親、高学歴で就職先がない若い女性。十字架の儀式が神社の神事にも思えてくる。

本筋じゃないけど、ペトルーニャの専攻の話をもっと聞きたい笑




【ネタバレ】




劇的な要素は廃してあって、起こりそうなことしか起こらない。
すごく良い人とか、とんでもない悪とかもない。

ペトルーニャの最後の台詞は、ある意味ウテナのラストとも通じるものがあって、爽快感がある。


ああでも、そうか。
"結局のところ人の心を救うのは自分を理解してくれるパートナーの存在である"という結論なのかと思っていたけれど。
そんなパートナーとの出会い、あるいはそれによる心の解放をもたらしてくれた十字架は、やはりご利益のあるものであり、神は男女を問わず祝福したのだとも解釈できるのかも。
アイダ

アイダの感想・評価

3.2
拘束されてから毅然とひとり戦うペトルーニャはとても素敵
しかし序盤での振舞いが酷過ぎてすっと入ってこない

折れないレポーターさんも良かった
この場合結託せずそれぞれ孤独に戦うことに意味があるんだなあ
Mamamaland

Mamamalandの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

そうその通り、あなたには十字架は必要なかった。なくても十分幸せになれる力があったのよ。必要だったのは教会と男性達。

ペトルーニャかっこいい!
ppk

ppkの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ペトルーニャは32歳。太っているし、特に美人でもない。
男なら働くのに何ら関係のないことが、ペトルーニャには欠点だ。
女だから。
女の価値を決めるのは男だから。
女は男という狼に喰われるだけの哀れな羊だ。


十字架を手に入れたペトルーニャを責め立てる男たち。
女のくせに。
このアバズレ、ヤリマン。

しかし彼らは知らない。
罵声を浴びせ、唾棄しながら、羊の中に眠る狼を目覚めさせてしまったことを。


ペトルーニャはもう哀れな羊ではない。
自分には価値があるとわかったから。
ただの一人の女の行動が、社会を揺るがす力を持っていると気付いたから。

彼女は微笑む。
十字架の助けはもういらない。
ペトルーニャに祝福を!
holly

hollyの感想・評価

4.4
ど頭で捕まった。

構図も最高やし演技もよいよい。

他の作品もみよっ。
家に引きこもり、自堕落な生活を送る無職の巨漢アラサー女性・ペトルーニャ。
母親に急き立てられて、仕方なく縁故面接に行くパラサイト・シングル。
近頃のネットスラングな言い方をすれば、子ども部屋おばさん。
世の中はずいぶん辛辣な表現を発明するね…。

24~25歳くらいがいいんじゃない?
年齢を偽るよう母親から助言されてうざがるペトルーニャ。
オシャレなワンピースで小奇麗に着飾って、面接では、20歳とさらに盛る(笑)
彼女のダメさ加減が面接官に見抜かれてしまい、面接失敗。
そんなグ~タラな彼女が、たまたま女人禁制の川祭りを見かけ、勇ましい上半身裸の男たちよりも先に、十字架をGETしてしまう。
やがて、それが男女平等・宗教の伝統などが絡んだ社会問題に発展していく。


ジェレミー・ジャスパー監督「パティ・ケイク$」の主人公を彷彿とさせる風貌。
ミヒャエル・ハネケ監督「ファニーゲーム」のようなオープニングBGM。
西宮神社の福男選びに似た祭り。

序盤の掴みはOK。
十字架をGETしてから急速に面白くなくなる。
企画の設定だけで満足してしまったのか、そもそも描くものがそんなになかったのか。
尺を稼ぐために、だらだらと引き伸ばしているように見えた。

ベルリン国際映画祭のエキュメニカル審査員賞&ギルド映画賞W受賞作。
moobyoo

moobyooの感想・評価

3.7
男性優位と云う世界観は、時勢的に消え行くものなのは確かですが、まだまだ根強く残っているのも隠し切れないと、改めて示すヒューマン作品です。

北マケドニアが舞台の映画を観るのは初めてだと思いますが、その小国にですら男女平等と云う意識が出始めているものの、若い男性にもまだまだ男優先の思想がこびりついていて、生半可では改心出来ないであろう実態が浮き彫りにされて行きます。

男だけで行われている伝統儀式で奪い合う幸せの象徴である十字架を、ヒロインのペトルーニャが偶然的に手に入れてしまったことによる波紋は、司祭や警察関係、マスコミを巻き込んで収拾のつかない事態に発展して行きます。

中盤以降、警察に保護されたペトルーニャが体現する理不尽な出来事の積み重ねにより、図らずも成長して行った先で導き出す結論は、予想に反して驚かされます。入り乱れる人々が醸し出すエゴの羅列から見える人間の本質が恐ろしくもありながら、一歩前に進まないと気付けない皮肉は、何とも辛辣な余韻を残します。
いい意味で意外な結末だった。

ペトルーニャの行動は警察や司教やマスコミを巻き込んでの騒動となる。
だが、ペトルーニャの思惑は非常にシンプルなものだった。

伝統への反抗や家父長的社会への反対が主旨のように思われるが、
それだけではない、いい意味で裏切られた作品。

前半は北マケドニアの荒涼とした風景や街並みが描かれて満足できた一方、
後半はどうしても閉塞感が否めない。

同監督のスコピエや北マケドニアを描いた映画も見てみたい。