ペトルーニャに祝福をの作品情報・感想・評価 - 5ページ目

「ペトルーニャに祝福を」に投稿された感想・評価

ppk

ppkの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ペトルーニャは32歳。太っているし、特に美人でもない。
男なら働くのに何ら関係のないことが、ペトルーニャには欠点だ。
女だから。
女の価値を決めるのは男だから。
女は男という狼に喰われるだけの哀れな羊だ。


十字架を手に入れたペトルーニャを責め立てる男たち。
女のくせに。
このアバズレ、ヤリマン。

しかし彼らは知らない。
罵声を浴びせ、唾棄しながら、羊の中に眠る狼を目覚めさせてしまったことを。


ペトルーニャはもう哀れな羊ではない。
自分には価値があるとわかったから。
ただの一人の女の行動が、社会を揺るがす力を持っていると気付いたから。

彼女は微笑む。
十字架の助けはもういらない。
ペトルーニャに祝福を!
holly

hollyの感想・評価

4.4
ど頭で捕まった。

構図も最高やし演技もよいよい。

他の作品もみよっ。
家に引きこもり、自堕落な生活を送る無職の巨漢アラサー女性・ペトルーニャ。
母親に急き立てられて、仕方なく縁故面接に行くパラサイト・シングル。
近頃のネットスラングな言い方をすれば、子ども部屋おばさん。
世の中はずいぶん辛辣な表現を発明するね…。

24~25歳くらいがいいんじゃない?
年齢を偽るよう母親から助言されてうざがるペトルーニャ。
オシャレなワンピースで小奇麗に着飾って、面接では、20歳とさらに盛る(笑)
彼女のダメさ加減が面接官に見抜かれてしまい、面接失敗。
そんなグ~タラな彼女が、たまたま女人禁制の川祭りを見かけ、勇ましい上半身裸の男たちよりも先に、十字架をGETしてしまう。
やがて、それが男女平等・宗教の伝統などが絡んだ社会問題に発展していく。


ジェレミー・ジャスパー監督「パティ・ケイク$」の主人公を彷彿とさせる風貌。
ミヒャエル・ハネケ監督「ファニーゲーム」のようなオープニングBGM。
西宮神社の福男選びに似た祭り。

序盤の掴みはOK。
十字架をGETしてから急速に面白くなくなる。
企画の設定だけで満足してしまったのか、そもそも描くものがそんなになかったのか。
尺を稼ぐために、だらだらと引き伸ばしているように見えた。

ベルリン国際映画祭のエキュメニカル審査員賞&ギルド映画賞W受賞作。
moobyoo

moobyooの感想・評価

3.7
男性優位と云う世界観は、時勢的に消え行くものなのは確かですが、まだまだ根強く残っているのも隠し切れないと、改めて示すヒューマン作品です。

北マケドニアが舞台の映画を観るのは初めてだと思いますが、その小国にですら男女平等と云う意識が出始めているものの、若い男性にもまだまだ男優先の思想がこびりついていて、生半可では改心出来ないであろう実態が浮き彫りにされて行きます。

男だけで行われている伝統儀式で奪い合う幸せの象徴である十字架を、ヒロインのペトルーニャが偶然的に手に入れてしまったことによる波紋は、司祭や警察関係、マスコミを巻き込んで収拾のつかない事態に発展して行きます。

中盤以降、警察に保護されたペトルーニャが体現する理不尽な出来事の積み重ねにより、図らずも成長して行った先で導き出す結論は、予想に反して驚かされます。入り乱れる人々が醸し出すエゴの羅列から見える人間の本質が恐ろしくもありながら、一歩前に進まないと気付けない皮肉は、何とも辛辣な余韻を残します。
いい意味で意外な結末だった。

ペトルーニャの行動は警察や司教やマスコミを巻き込んでの騒動となる。
だが、ペトルーニャの思惑は非常にシンプルなものだった。

伝統への反抗や家父長的社会への反対が主旨のように思われるが、
それだけではない、いい意味で裏切られた作品。

前半は北マケドニアの荒涼とした風景や街並みが描かれて満足できた一方、
後半はどうしても閉塞感が否めない。

同監督のスコピエや北マケドニアを描いた映画も見てみたい。
pop1281

pop1281の感想・評価

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多くの画面をシンメトリーで構成したこの映画を単に一人の女性の社会あるいは宗教と対立による成長談と観ることは出来ない。
シンメトリーとは反転しても変わらない性質。すなわち、そのほとんどの登場シーンをシンメトリーのなかで描かれる主人公の女性は、人生観が変わるような経験をしたにも関わらず本質は変わることないのである。
それは物語の軸となる十字架の騒動に対して社会的な意味を持たせようとするインタビュアーの質問に対してなに一つ答えることない(答えなどそもそも持っていない)主人公の態度や、ラストにおける彼女の十字架に対する心変わりが、男性からの些細な優しい言葉によって萌芽することに見てとれる。
結局 、彼女は序盤で男にセクハラまがいに太ももに置かれた手を払いのけるでもなく、自らその手を更に上へと誘うような女のままなのである。
このように物語のうえでは男尊女卑の社会や女性の自立を描いたように見えるこの作品は、ニューヨークで映画を学んだ女性監督から祖国の無自覚で保守的な女性達に対するアイロニーとして見ることが正しいのではないだろうか。
ただしラストにおいて、警察署を出た主人公をカメラはやはりセンターに捉えるのだが、そのみちは蛇行しており主人公は無意識に軸を外れるのである。それこそがこの映画の残酷なカタルシスとなっている。
そしてタイトルの文字通り、主人公の女性が神となるなどという見方はナンセンスであり、神のメタファーは雪道の画の後で不意に出現し見るものを戸惑わせる。この物言わぬショットの力こそがこの映画をベルリンに召喚させた監督の可能性といえる。
kyoko

kyokoの感想・評価

3.6
大学出の32歳、実家暮らしのウエイトレス、おデブ。
学歴を生かした職に就くことも結婚することもできないまま、日々母親の的外れな干渉に苛立つペトルーニャが、セクハラ圧迫面接でクサクサしている帰り道で出会った女人禁制の宗教行事で、衝動的に十字架をつかみ取ったことから始まる、「幸せの真理」に導かれるまでの1日を描いた100分間。

前半は全くと言っていいほどペトルーニャに魅力を感じることができず、性差別の不条理さに対する彼女の怒りにもなかなか同調することができない。母親の体を思いっきり蹴り上げたのにはドン引いた。十字架を奪い返そうとする男たちのやからぶりも最悪だったけど。北マケドニアは武闘派揃いなの?

男性上位の価値観、その価値観でもって彼女をがんじがらめにしていた母親の存在、それらに対して真正面から対峙し、最終的に「幸せは己の心持次第である」ことに気づいたペトルーニャの顔は美しかった。留飲の下がるラストと言えなくもないけど、結局のところ「女がその寛大な心でもって男を許したら、世界は平安なのよ」ってことのようにも思えて、微妙にモヤる。
アレクサンドロス大王などに興味はなく、別の世界に目を向けていた彼女ならば、もっと違う方法で人生の転換期を迎えられたんではないかと思うのに。

派手めの柄の服、取調べ室の植物園みたいな壁紙、東欧の国らしい色使いが素敵。
anna

annaの感想・評価

3.1

このレビューはネタバレを含みます

32才、女、無職。
地元の女人禁制の伝統の祭りにひょんなことから参加してしまい、警察沙汰になってしまい世の中をちょっと騒がせてしまうお話。

オープニングめっちゃ良かったな。構図とか題字の出し方とかかっこよってなった(語彙力)

北マケドニアの話とのこと、耳慣れない国だが日本と似通った文化だなとおもった。

帰りにみたメンズ脱毛の「男は肌も強いって思ってる?」っていうのが意味深に感じ取れた。

案外性差別って色んなとこに転がってんだな、

パンをベッドの上で食うのはいただけないナァ。
ほりー

ほりーの感想・評価

3.5
女人禁制の祭りで、幸運の証である十字架を取った主人公が差別に巻き込まれていく話。日本だとたまたま走って福男になっちゃったみたいな話かな。

性差別に関して社会や家庭の権力構造と対比するのは色々あるけど、宗教的伝統と絡めるのは新しいかなと思った。

宗教的信条は正しいかとうか関係ないところがあるし、日本より関係性が深いからなんとも言えないけど、それを踏まえての最後のオチは秀逸でした。
河田

河田の感想・評価

3.1
作り手の意識の高さは感服するが、物語としてやや冗長……?(ミクロからマクロを語るにも無理があるというか……)
でも、時々ハッとさせられる画面作りがあったり、全く知らなかった北マケドニアの風土を垣間見れてよかった。知らない才能があると勉強になった。