もしも世界から「ビートルズ」が消えたなら……。
ある奇妙なハプニングにより、世代を超えて心に響く名曲を生み出したビートルズの伝説がすべて消えてしまった世界で、売れないミュージシャンが彼らの曲を世の中に届け、スター街道をひた走っていきます。
明るく幸せな気持ちになれる奇跡のストーリーを、ダニー・ボイル監督が軽快なテンポで描いていきます。爽快なラストも心地良いです。
愛を奏でるビートルズの名曲たちが、この映画のストーリーによく合っているし、近くて遠いジャックとエリーの距離感にもシンクロしていて、またビートルズの曲たちを聴きたくなります。
ジャックとエリーは幼馴染で、エリーは売れないジャックのマネージャーと運転手をずっとやってきました。
良き親友でありながら、いつ恋人同士に歩んでもおかしくない関係性。
あぁ……もどかしい。お互いの事を知りすぎてるからこそ、今更近付けないのでしょうか。二人とも誠実で真面目なのです。
いや、エリーはいくらかサインを出してるんですけどね。時にストレートに想いを伝えたり。ジャックがことごとくそれに応えられずにいるわけです。
ジャックはミュージシャンとしても自分の実力不足を痛感しており、頻繁に自信を喪失します。その度に売れないジャックを励まして引っ張ってきたのがエリーです。
基本的にジャックには自信がないからエリーのサインにも応えられないのが、もどかしい。
ビートルズの知らない世界でビートルズの曲を歌ったジャックはどんどん話題を集めて大スターになり、ミュージシャンとしての自信も培われるものの、それでもまだエリーと向き合う事ができない。
なぜか。プロデュースされて商品化していくに連れて、ジャックの中に盗作の罪悪感が芽生えてきたからです。
ジャックの罪悪感を救ってくれた意外なきっかけが、また優しい世界観で良かったです。
あと、エド・シーランは「Hey,Jude」をぶち壊す。
……これ了承して出演したエド・シーランとスタッフ陣の信頼関係もまた素敵ですね。
