ダニー・ボイル監督と脚本家リチャード・カーティスというイギリス映画界のツートップによるロムコム作品に、そもそも誰も重厚なレッスンを求めてもないだろうし、事実そんなものは存在しないわけだけど、野暮ったい男の物語は、リチャード・カーティスの定型文に沿っていて心地よい。しかもビートルズの名曲なんて反則だし、リリー・ジェームズは可愛くて、やっぱり反則だ。
しかし、これだけ趣味趣向が多様化している時代だと、例えば誰もがビートルズを当然知っているという共通概念、或いは同時代性みたいなものはもう成立しなくなるのかもしれないよね。みんなが知っていることを自分は知らないというような、ズレをフックにした話って、もうなかなか書けないのかもしれないね。