踊る猫

イエスタデイの踊る猫のレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
3.5
ダニー・ボイル、リチャード・カーティス、そしてビートルズ。これだけ美味しくなる要素がありながら、できあがったのはどこかビミョーな作品だった……細かいところはよくできていると思う。セリフの中に溶かし込まれている歌詞や、『ホワイト・アルバム』というタイトルが「多様性」の側面からボツになるところなど。でも、この映画は嘘くさい。いや、パラレルワールド(?)なんだから嘘くさいに決まっているのだけれど、ビートルズのナンバーがプラスティックでできたペラペラの曲にしか響かないのだ。心を掴まない、という。俳優たちの演技がマズいとかそういう問題ではなく、ビートルズの魅力は「曲」ではなく「四人のカリスマ性」と「演奏」だったという事実の現れなのではないか。肝腎の愛と正直さを説くメッセージも、いやあの人に言われてもなあ……という感じでどこかスットコドッコイ。泣く子も黙るあのビートルズを持ち出せばみんな黙って受け容れる、わかってくれるはず……という英国人気質からくる愛情が足を引っ張ったのだろうか。暑苦しくなくそれでいてホットなところは支持したいのだけど……。
踊る猫

踊る猫