売れないアーティストが、自分だけビートルズを知ってる世界になって、ビートルズの曲を借りて有名になっていく！
端的に言い現わすと、そんな映画。
ここのところ、クイーンや、エルトン・ジョンなどの、世界的に有名なアーティストを主題とした作品が作られていた中で、ある意味、異世界転生ラノベ的なアプローチをした非常に面白い作品。
曲が世界的に有名なビートルズで、誰もが知ってる曲ばかりだから、曲が流れるだけでテンションが上がってしまうのはモチロンだけど、「俺だけがビートルズを知ってたらこうなるんじゃね？」的な、予想に応えるワクワク感や、それを裏切る意外性、感動なだけじゃなくて、風刺が効いたコミカルな演出も見どころ。
曲が良くても、それが理解できるのは、一部の人間だけで、大衆的ポップスの名曲なのに、だ～れも、その曲の良さに気づけないという展開は、ある意味とても切なくなる。
他人の曲を借りてのサクセスストーリーだけれども、その行為に対する葛藤や、落としどころも実によく、軽快な心地良さを味合わせてくれる。
また、曲の力に頼るだけでなく、キャスト・登場人物も、とても個性的で親しみがあり、テンポの良さやギャグ展開などで、笑わせてくれるところも最高だ。
曲が良く、苦悩や葛藤があり、最後に心地良い感動を迎える… だけでなく、ほど良いスパイスや、パラレルワールド的な世界観を持っているからこそ、客観的に気づくことができる、本物の良さ、染み入る感慨深さなど、作品の構造を十全に活かしきっているところも、素晴らしいポイント。
