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イエスタデイのyastakのレビュー・感想・評価

イエスタデイ(2019年製作の映画)
3.6
amazon primeに登録されていたので小躍りしたものの、ちょっと遅れて先日鑑賞。

久しぶりに観るダニー・ボイル監督作品。
鑑賞前に、以前読んだかわぐちかいじの「僕はビートルズ」を思い出す。
本場の人、ダニー・ボイルが撮るビートルズ題材のファンタジー・コメディってことで、サスペンス寄りだった漫画の設定とは真逆の感じを期待しつつ観ました。
そもそもアプローチが違うので比べるもんでもないんだけど。笑

素直で気のいい主人公ジャックを中心に、一途な幼馴染のエリーから、レーベルの守銭奴プロデューサー、デブラまで、いいひとはいいひと、悪い人は悪い人でわかりやすい。

前情報ナシで観たので、エド・シーランがそのまんま本人役で出てきて、えーっとなった。笑 しかも、素っぽいけど演技もうまい。歌もうまい。(当たり前)
劇中で実在の人気シンガーソングライターと対比させる構造は、ダニー・ボイルがけっこう真剣に脳内シミュレーションしたんだろなーという想像が浮かぶと同時に、本作を凡庸なコメディドラマと一線を画した独創性のある物語にすることに成功しているように感じます。

脚本も良く出来てて、テンポの良さの中にも大小様々な起伏があって感動もできる。個人的にはあの人と会うシーンに、ダニー・ボイルの思いを勝手に感じてウグっとときました。
そうそう、そこ大事だよねー。

総じて、けっこうやり尽くされた感のある題材が軸になっているのに、いろいろ工夫してちゃんと観たことのない現代劇に仕立ててあるところは、御大ダニー・ボイルのセンスの為せる技でしょう。

現代の話だし、WebやSNSとかいろいろ出てきますが、この辺のデジタル表現がポップ&グラフィカルで作品のテンポ感にも貢献。

そんな洗練された演出の気持ちよさと裏腹に、ビートルズの曲が現代に新曲としてリリースされたら実際どういう評価になるか、とかの斜め上目線もよぎりそうなものですが、一切気にならず最後まで楽しめました。

その理由は、ビートルズの名曲が持つパワーに加えて、本作が放つ全方位型の愛にあると思います。
とにかく音楽、人、世界に対する愛に溢れてる。

やっぱこういう前向きな映画は生きていくのに必須だな。
設定に踊らされず、ビートルズが世界に送り出したメッセージの大事なところを抜き出して届けてくれたところに、この映画の最大の魅力がある気がする。

あんま書くとネタバレになるのでアレですが、ビートルズ以外にもいろいろあったり、小ネタも効いてます。

「ベイビー・ドライバー」で笑顔にやられたリリー・ジェームズ。
本作の役名はエリーですが、これがまためっちゃキュート。
幼馴染とはいえよくここまで無反応でいられたものよ。そこが素直にすごい。

なんとなく気持ちが落ち込んだときとか、気分を変えるのにもおすすめです。
あでも山谷あるからちょっと元気なときがいいかも。
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