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カニバ/パリ人肉事件 38 年目の真実のosakaのレビュー・感想・評価

5.0
言葉では形容しがたい。

人肉事件そのものというよりも、その事件後の2人の関係性を追ったドキュメンタリー。佐川一政とその弟の機微に触れようと、カメラは常に顔のドアップで細かな表情を捉えようとする…が、できない。それを表すかのようにピントが合わなかったりする(これってドキュメンタリーだよな?)。
ドアップの連続で、観てる側はとても圧迫感を感じる。

明らかに観客を不快にさせようとして作られている映画。だが、それでいいと思う。あの事件自体が不快極まりないものだから。それを当時は面白がる風潮が一部にはあったそうだが、それは危険である。
こんな事件があって、こうなって、佐川一政はこう思っていて、はい!全てに正解が与えられました!満足でしょ??となっては絶対にいけない。
絶対観客にこの映画を「消費」させないぞ、という制作側の意志を感じました。

分かりそうで、まったく分からない。弟が何故あんな兄について行くのか。そしてとある性癖。あのメイドも。みんな佐川一政と話すとき声が震えている。自分を偽っているようにも見える。

2人に同じようにピントが合うことがない。まるで2人の間にはとてつもない溝があるみたいに。ほんとにその溝の深さは計り知れない。覗き込んだら即死のレベル。

そんな3人が、わたしたちと同じ世界に、そしてお互いに、何とかして合わせて生きていることは、ほんとうに「奇跡」としかいいようがない。