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風をつかまえた少年のスチールラグのレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
4.0
マラウイを地図で確認してみる。
アフリカ南東部、いろんな国に囲まれてその小さな国はあった。
物語当時(2001年)、電気を使えるのは人口のわずか2%だったそうだ。
現在でも、世界中の約11億人が電気エネルギーにアクセスできないと言われているので事実だろうと思う。

でも、誰が、貧しいなんて言ったのだろう。
誰が、最貧国なんて言ったのだろう。
母の愛、家族の愛
知恵、工夫、信じる力
色んなものがそこにはあった。

制服を見つけて小躍りする少年。学校に行ける!
家族で車座になって取る温かい食事。
図書館で、「本はありましたか?」と先生に問われ、表情を輝かせる少年。
危機に陥り、絶望した娘を「私の腕を切り落としてでも、あなたを飢えさせない」と抱きしめる母。
「きっとうまく行く」と父を説得する少年。
でも、きっと心の中は不安でいっぱいだったと思う。よく頑張ったね、少年。

改めて自分自身の生活を振り返ってみる。
モノはあふれている。
でも何もない。空っぽだ。

教育の大切さを改めて痛感する。
シリアから逃れてきたある難民の女の子が「国を出るときに持っていたのは教科書だけでした」と語っていた。悲惨な現実の中、なんて聡明な子。
うちの会社でも、そろそろ話題に上りはじめたSDGs。でも表面しか理解していない社員がほとんどだ。一人ひとり、一つずつ丁寧に説得していくしかない。空っぽのジジイにもできることはある。

「風をつかまえた少年」20190806ヒューマントラストシネマ有楽町
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