もけ

風をつかまえた少年のもけのレビュー・感想・評価

風をつかまえた少年(2019年製作の映画)
3.9
アフリカのマラウイで風車を作り貧困と飢餓の危機から村を救った少年の実話の映画。
学校に行く事すら困難な国が舞台なだけに、学ぶ事の意味や大切さを痛感させられる。
しかもこれが2001年の出来事だというのだから。
また、同時に人と人とが力を合わせる大事さも描かれていて見応えありました。

最初から風車を作ろうとする話ではなく、主人公のウィリアムたちが住んでいる村や国の貧困や学ぶ機会の特別さ、家族や人と人との繋がり、政治状況などを丹念に描いた上で、序盤から章立てしながら撒いてきたタネが実を結ぶクライマックスに持っていくので本当にグッとくる。

父親役で出演もしているキウェテル・イジョフォーが脚本も兼ねた初長編監督作なんだけど、なかなか良い仕事をしてると思ったですよ。

ただ全体が丁寧に描かれているぶん、ウィリアムが図書館で風車や発電機の仕組みを深く知っていく描写があまりなかったり、きっとあったであろうトライ&エラーが全く描かれなかったのは少し残念だった。
代わりにそれに関連して父親との関係を深く描いていたので、そういう判断だったのかな。
それでも『「学び」によって人は生きる術を手に入れ、出来る事が増えていくし、何をすべきかも見えてくる』という事はしっかり伝わってきたのでそこをもって「ダメ」とは全く思わない。

この映画、基本はNetflix配信で劇場公開してるのは日本とイギリスだけだそう。
チャリティ企画として、有料鑑賞した場合その中から50円があしなが育英会に寄付されるそうなので、気になる人は是非劇場へ。

ちなみに自分が観に行った回では上映前に配給のロングライドの中の人と漫画家の星野ルネさんのトークショーが。
これがあるのを知らなかったんだけど、星野ルネさんの話が鑑賞前の良いガイドになっていてよかった。
マラウイなどアフリカ諸国にも義務教育制度はあるけど実際には貧困のために成り立っていないという事が鑑賞前に明確に認識できたのが特に。
劇中では「義務教育」という言葉が出てこないので単に学費が払えないで理解が止まってしまうところだった。



(ツイッターに書いた感想をコピペして再構成)
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