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スティル・クレイジーの一人旅のレビュー・感想・評価

スティル・クレイジー(1998年製作の映画)
5.0
ブライアン・ギブソン監督作。

伝説の野外フェスを最後に解散したロックバンド“ストレンジ・フルーツ”の復活劇を描く英国コメディで、アメリカ映画『スパイナル・タップ』(84)のように架空のバンドながら数々の“バンドあるある”で実在感を感じさせてくれます。

70年代に人気を集めたもののメンバー同士の衝突によって解散した往年のロックバンド“ストレンジ・フルーツ”が、解散から20年の時を経て再結成を決意、散り散りになっていたメンバーを再び集めて欧州ツアーに乗り出すが―という“バンド再結成コメディ”で、遥か昔に解散したバンドに未練が残る男達の20年越しのセカンドチャンスの行方をユーモラスに描いた快作となっています。

メンバー同士の音楽性の衝突や仲違い、女マネージャーを巡る内輪色恋沙汰、メンバーの死亡疑惑、バンドの花形であるボーカルに対する他メンバーの嫉妬、狂気的な追っかけファンとの遭遇、アルコール&麻薬依存…とバンドあるあるな多くのエピソードをテンポよく盛り込みつつ、人生最後にもう一花咲かせたいバンドおやじ達の夢と情熱をそれなりに聴かせてくれるロックパフォーマンスを交え描き出しています(最後の曲が湿っぽいのが惜しい…)。

そしてビル・ナイ、スティーヴン・レイ、ティモシー・スポール、ジミー・ネイル、ビリー・コノリー、ブルース・ロビンソンら英国俳優がバンド再結成に人生を賭けるメンバーを実在感たっぷりに演じていますし、ヒロインであるマネージャーを演じたジュリエット・オーブリーの好演も光ります。
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