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ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-のTWRのレビュー・感想・評価

4.0
最初はゲラゲラ笑いながら見ていたが、地球平面説を信じる人々からトランスジェンダーやユダヤ人を差別する言葉がほんの部分的ではあるものの出てきて、日本におけるオウム真理教の事などを思い出して、陰謀論を単に笑い物にして消費する危うさに気付く。終盤にこの説が純粋に陰謀論から発生したわけではなく、「恥をかかせないと理解しない」と信じる科学者の態度にも問題があったのではと指摘する科学者の冷静な自己批判に感心させられる。そして、地球平面説を信じるがあまり精緻な実験に乗り出し、逆に自らの説を覆してしまうも、それでも他に数々まだ「証拠」があると譲らないビリーバーたちのひたむきさが印象的。陰謀論への傾倒は帰属するコミュニティを守る意識からであり、よって陰謀論からの転向はコミュニティからの離脱と孤立であるという分析までしっかりなされていて、良質なドキュメンタリーだと思いました。
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