凛

アンダー・ユア・ベッドの凛のレビュー・感想・評価

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
4.3
プレミアム・トーク付き上映。R18
高良健吾・安里麻里監督。

誰からも省みられることのない孤独な男・三井が大学時代に名前を呼んでくれた千尋を11年後に思い出す。
千尋を探し出したが昔とはすっかり変わっていた。三井は監視し盗撮し不法侵入し盗聴して千尋を感じていた。
千尋はパワハラ夫から激しいDVを受ける奴隷妻だった。。

三井のモノローグで語られる孤独な心情。
空気のような存在は辛い。しかしどこか諦めているようにも思える。
千尋は初めて三井に幸せな気持ちを味あわせてくれた人。その思い出は色褪せることはないが、目の前の千尋のやつれようを見ても気持ちは醒めることはない。
ベッドの下に潜む三井のやっていることは犯罪だが、不思議とそれを悪だとは見えない。
狂気のようでもあり、無償の愛を千尋に捧げているようにも見える。千尋の全てを愛している。
DVシーンはかなり激しく夫に深い嫌悪感を抱く。逃げようと思っても逃げられない苦しさ。

三井の贈った花を千尋が心待ちにしていたのは救われた気持ちになった。一方通行ではなかった。
三井のような命の使い方もあるのかもしれないが、千尋の為になれば幸せなのかもしれない。

大学生の千尋のキラキラした表情と今の千尋の淀んだ表情を演じわけた西川可奈子は見事。DVシーンにも体当たりで。
高良健吾の繊細さで三井がただの気持ち悪いストーカーになっていない。むしろ応援してしまう。相変わらず難しい役どころだが自分のものにしている。

単館レイトショー、パンフレット無し。
たくさんの人に観てもらいたい秀作。

⭐️追加 7.29 高良健吾ティーチイン

最後のシーンは笑顔でも涙でもなく観た人にhappy endだとかbad endだと自由に感じて欲しい。
大変だったのはオムツを履くシーン。
恥ずかしいので助監督さんも一緒に履いてくれた。
三井がスタンガンを構えながら手を出せなくて部屋に戻って謝ってるシーンも好き。
そういう所も三井らしい。
三井の行動に共感はしないが小さい時から孤独だった人ならやりかねないと理解は出来る。ただ自分は理性があるのでやらないけど。
凛