ななめまえ

アンダー・ユア・ベッドのななめまえのレビュー・感想・評価

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
5.0
あぁ…もう性癖に刺さる作品に出会ってしまいました…。
あらすじを読んで「ベッド下に潜り込んで〜」の辺りであっこれは絶対好きに違いないと思ったのですが、
江戸川乱歩のような倒錯的な世界観にくわえて、文学的でもあり、どうしようもなく変態で、たまらなく〝純〟でした。

男は大学時代にたった一度だけ自分の名前を呼んでくれた
たった一人の女に執着し、
片想いを募らせて、
しまいに近くに引っ越し、盗聴し、盗撮し、ベッド下に潜り込んでいきます。
女と一度だけ飲んだマンデリンをサイフォンで淹れて、女と思い出のグッピーを飼育し、毎日毎日女を思いながら飲んでいるんです。
物語の始まりに男が言います。

『俺は小石の裏に蠢く虫だ
今こうして名もない男が
ベッドの下で虫のように横たわっている
そして
そこで
毎日彼女を
ただ見つめているんだ』

不器用な男のドロドロと煮凝りのような生き様は見ているだけで、舌の奥がザラつき、何とも痛ましい。

しかし、男の行き過ぎたほど真っ直ぐな情念に、心を揺さぶられます。

『この人は唯一人生で幸せを教えてくれた人だった

俺には人を幸せにする方法が分からないーー』