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サイダーのように言葉が湧き上がるの06のレビュー・感想・評価

4.1
コンプレックス克服系ラブストーリー。

僕らが思春期に落っことしてしまった甘酸っぱさが詰まってるアニメだった。
舞台が郊外のショッピングモール、主人公はそこで老人介護のバイト中。って設定がもう目新しい。アニメらしい絵に反して、人間が上手く描かれている。

人前で声を出すのが苦手なチェリーくんと、歯列矯正中でマスクが手放せないスマイルちゃん。
誰もが一度は通る、自分のコンプレックスを必要以上に気にしてしまう時期。それでも誰かと関わって、一生懸命日々を楽しんで、いつの間にか恋に落ちている。
話のメインは若い二人の恋模様だけど、取り扱うアイテムの渋さがいい。俳句やレコードなど、若い人が知ってるけど馴染みがない物。そこから上手いこと話が展開して、世代や時代が繋がっていることを感じられる物語になっているのだ。

悪人は出ず、嫌味がなくて、優しさを感じられる。
隅々まで丁寧な作りの作品だった。
   
アニメーションとしても面白かった!
イラストチックな個性的なビジュアルで、様々な年代の色々なバックボーンを持つ人々が描かれる。背景がどこまでもデザイン調なのに対して、キャラクターの動作部分は丁寧でリアルだ。特に踊りのシーンの手付きなど、細かい描写に恐れ入る。
特に二人の距離が近づいていく過程の二分割演出なんかはテンポもよくてニヤニヤしてしまう。音楽に関しては全面的に、流石「四月は君の嘘」の監督!と拍手したくなる。

高校生の頃に観たら恥ずかしくて眠れなかったかもしれない。
その位明るく眩しく素敵だった。
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