メタ壱

サイダーのように言葉が湧き上がるのメタ壱のレビュー・感想・評価

3.8
少しだけコミュ障な男の子・“チェリー”の趣味は俳句。
デイサービスセンターで仕事をしていた彼はある日、出っ歯がコンプレックスな女の子・“スマイル”と出会う。
彼女もひょんな事から同じデイサービスで働く事になるのだが、利用者のおじいちゃんがとあるレコードをずっと探している事を知りそれを手伝う事に…というお話。

ほんのりとわたせせいぞうさんの絵を思い出すような画風と作風が、爽やかで優しくてとても夏で好き。

言葉はいくらでもあるし制限なんてないのに人はなんでルールで縛られた俳句を読むのかと言えばそれは多分、直接表現しない事で表現できるって事があって、伝えたい一番大事な想いはそこに宿るからだと思うのです。

でもそういう想いって、それこそサイダーの泡の様に湧き上がってきてはすぐに消えてしまうし、忘れてしまうもの。

だから人は何らかの形でそれを残そうとするのかもしれません。

そしてそんな大切な想いは世界の端々の色々なモノに断片的に、無限に記憶され、それに触れる度にその時の感情を思い出させてくれます。
それは例えば俳句や声や匂いだったり、音楽や写真や絵、そして可愛らしいあの子の出っ歯だったりするのです。
メタ壱

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