さうすぽー

サイダーのように言葉が湧き上がるのさうすぽーのレビュー・感想・評価

2.7
自己満足点 55点

【四月は君の嘘】を手掛けたイシグロキョウヘイ監督のオリジナル作品。

全体的にボチボチな感じです。

主人公のヘッドホンやヒロインのマスク、それぞれの使い方が上手くて序盤から終盤にかけての二人の関係性に表されているのが思わず唸らされます。

また、俳句がメインの要素だっただけに、「言葉の比喩」が非常に上手いです。特に、主人公が最後に書いた俳句はヒロインへの想いや彼女の殻を破る切っ掛けにも繋がる秀逸なもので凄く上手いです。

音楽の使い方も絶妙で、牛尾憲輔さんの劇版音楽やNever young beachの歌う主題歌も今作の世界観に合っていました。
大貫妙子の曲セレクトもお見事です!


ただ、主人公とヒロインの関係性の丁寧さに反して他のキャラクターが「水槽のお飾り」のような添え物になっているのが否めないです。
正直どうでもいいキャラクター達で主人公とヒロインのやり取りにただいるだけになってしまって結構薄くてガッカリしました。

ヒロインに関しても一点だけ。
常にマスクしてる理由が出っ歯を隠すためですが、別に配信のコメント欄で批判されたわけでもありません。だから、正直なんでそんなにネガティブになるんだろうと疑問が残るので、コンプレックスを抱える理由が弱いです。

あと意外なことに、作画があまり良くなかった。
花火や車の移動シーン等、所々では良い点はあったものの、全体的に人物の動きが滑らかではないし、同じ監督の「四月は君の嘘」や「クジラの子らは砂上に唄う」と比べるともう少し頑張ってほしかったです。

ラストシーンに関しては「感動した!」という声が多いですが、個人的には臭すぎるし過剰に感じてあまり好きではなかったです。


やりたい事を上手くこなせていた所が多いので好きな方は多いのも理解してますが、個人的にはもう一押し足りないと感じる部分が多かったです。