シュウ

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッションのシュウのレビュー・感想・評価

3.8
実写化ってこういうことを言うんだなって映画。
あまりに馴染み深すぎて、他人の家のごはんなのに味噌汁が実家と同じ味みたいな奇妙な感覚に襲われた。


「シティーハンター」、依頼さえあれば探偵、ボディーガード、果てには暗殺までこなして見せる裏世界の何でも屋。
誰にも知られることのないその正体は、スケベで無類の女好きの冴羽獠(フィリップ・ラショー)という男だった。
毎日様々な依頼が彼の下に届き、親友の妹で相棒の槇村香(エロディ・フォンタン)とともに仕事をこなしている。
そんな二人のもとにドミニク・ルテリエ(ディディエ・ブルドン)と名乗る男が、嗅いだ者を必ず虜にするという『キューピッドの香水』の奪還という依頼を持ち掛けてくる。
その効果を試してみるものの半ば信じがたい獠と香が二の足を踏んでいると、その香水が何者かによって奪われてしまう。
香水の効果を消すことが出来るタイムリミットは48時間。
獠たちは仕方なくその香水の行方を追うことになるのだが…


1980年代に人気を博し、アニメ・映画化も果たした、まさに名実ともに超人気漫画の「シティーハンター」。
今でも根強い人気があり、「Get Wild」のイントロから入るEDなど、ストーリー全体を知らなくても名前や部分的に知ってる人は多いのではなかろうか。
そんな超人気の原作を実写化しようという動きが、なぜかフランスから起こった。
93年にジャッキー・チェン主演のやつもあったけど、どちらかというとあれはもはやジャッキーの映画だから、シティーハンターの実写化としてはノーカンみたいなものでは?
とにかく、80~90年代の日本のアニメがヨーロッパなどでは朝の子供向け(?)番組として流れていたようで、監督兼脚本兼主演のフィリップ・ラショーはそこからの大ファンなのだという。
そしてこの監督、自分で大ファンだと言うだけあって、わざわざ原作者の北条司に実写化製作の旨を直筆の手紙で送り、出来た脚本を呼んでもらうために来日するという原作愛の徹底ぶり。
まあたぶん何か理由をつけて原作者に会いたかっただけなんだろうけど。

そんなこんなで生まれたこのシティーハンターの実写版は、まさかの驚異の再現度。
ストーリーは全く新しいもののはずなのに、間違いなくそこには「冴羽獠」が映ってた。
いつもは軽薄で昼行灯、美女にはめっぽう弱いけど、いざという時には抜群の機転の良さと銃の腕前でトラブルを乗り切っていく。
観ながら「ああ、きっと冴羽獠ならこうするだろうな。」って感じるのを、毎度100%の精度で繰り出してくる。
自分が実写化したいと思ったとき、その主人公を自分で演じるって相当な勇気というかプレッシャーだと思うんだけどなあ。
やっぱりギャグのセンスはフランスのコメディ映画っぽさはあるものの、獠と香の関係性や距離感はとにかくそれっぽい、というかそれそのもの。
海坊主なんか、ハゲ+サングラスだけでなく、なんか体格までドンピシャで過去最高レベルの海坊主だと思う。
本当によく見つけてきたなあんな人。
そこまで来るとこっちも観るなら当然吹替版だなとなるわけですよ。
残念ながらアニメ版の獠の神谷明さんはあくまで実写の冴羽獠であること、そして年齢的にも厳しい部分があることから山寺宏一さんに引き継がれた。
個人的には山寺さんの2枚目キャラの演技がめちゃくちゃ好きなんで、この変更はむしろ嬉しいぐらいだった。
香役の沢城みゆきさんも本当に馴染んでるし、やっぱりしっかり配役がハマってる吹替は良いものだなあ。

あくまで徹底的に忠実に「シティーハンター」を実写化したものなので、ストーリーは普通だし、そもそもシティーハンターを見たことがないとここまで絶賛したり楽しんだりするのは難しいのかも。
ただ忠実なだけあって、ストーリーの形式は1話完結なので、本当に何も知らなくても全然観られる。
でも昔シティーハンターを好きで観てた人なら、この映画は絶対に一度観てみる価値はあると思う。